見出し画像

素敵なラム

風味豊かなアグリコールラム

あくまで個人的にですが、ラムブームが到来しています。
ラムはサトウキビを原料とした蒸留酒です。多くの国で生産されているので、原材料と蒸留酒であること以外の要件は特に定義されていません。
多種多様な作り方と味わいがあります。

私がラムにハマったきっかけはマルティニークラムにあります。以前は、ラムをカクテルベースとして使う酒だと認識していました。また、熟成されたものであっても甘味が強過ぎて正直好みではなかったので、キューバリバー(ラムをコーラで割って、ライムを絞ったカクテル)以外で飲むことはほとんどなかったかと思います。

しかし、マルティニークラムというフランス領のマルティニーク島で作られたラムを飲んでからはその考えが変わります。
サトウキビ原料の蒸留酒がラムだと言いましたが、大きく分けるとサトウキビ由来の廃糖蜜と、サトウキビの搾汁を使ったものの2つに分類できます。
廃糖蜜とはサトウキビ搾汁から砂糖を精製した後に残る液のことで、これを原材料にしたラムをインダストリアルラムと言います。
一方、サトウキビの生搾汁を原材料としたラムをアグリコールラムと言います。
また、ややこしいのですがサトウキビ生搾汁を加熱してシロップ状にしたものを原料としたラムをハイテストモラセスラムと言います。

マルティニークラムはアグリコールラムです。サトウキビの生搾汁を使用しているので、一般的にインダストリアルラムより風味は豊かです。
それまで飲んできたのはインダストリアルラムばかりで、風味は抑えめでスッキリとした味わいのものばかりでした。(熟成ラム以外は、の話です。)
しかし、行きつけのバーでマルティニークラムっていうのがあるけどどうする?と聞かれ、そこで初めてマルティニークラムを飲みます。
セントジェームス インペリアルブランでした。
飲み方はラムコークというありきたりなカクテルでしたが、コーラ以外の風味を強く感じます。小さな白い花やフルーツの香りが炭酸の泡とともに広がります。乾いた喉をとりあえず潤すために頼んでいたラムコークでしたが、この日を境に非常に魅力的なものになりました。
そこから色んなアグリコールラムを飲むようになります

ストレート、ロックで飲んでも美味しい

樽熟成をしていない無色透明なラム(シルバーやブラン、ブランコなどと言われます)はカクテルのベースとして使用されることが多いのですが、アグリコールラムのブランは風味が強く、ストレート、ロックで飲んでも非常に美味しいものです。そのままの香りを楽しむ価値があります。
先述のセントジェームスをはじめ、様々なアグリコールラムを飲みました。
中でも好みだったのは、トロワリヴィエール ブランとペールラバ ブラン59%です。
トロワリヴィエール ブランはボトルの口から香りを取ると、まるで焼きとうもろこしのように感じます。強烈な香りですが、グラスに注ぐと一転し、フローラルでエレガントな風味になります。度数も高くて飲みごたえは抜群です。
また、ペールラバはとてもフルーティです。少しパイナップルのような香りがあります。一番好きなラムです。

熟成ラムにもハマる

これまではブランの話でしたが、熟成ラムもとても素晴らしいものでした。
ラマニーのアンブレ(短期間熟成の意。)はハチミツのような風味に加え、熟したフルーツの香りがあります。
ペールラバ ドールは大きな木製タンクで短期間の熟成をしたものですが、パイナップルとシトラスの香りが爆発します。
長熟ラムでいえば、トロワリビエールが最高でしょう。1999年ビンテージのシブランはタバコ葉、紅茶、ドライフルーツといった香りが幾重にも交わり、一言では表せません。

ウイスキーとの比較

ここでウイスキーとラムとの比較をします。
ラムにハマったのは、ラムそのものの魅力も当然ですが、ウイスキーのおかげとも言えるからです。

ウイスキーの価格はここ数年で途轍もなく高騰しています。
数年前は25年熟成のものが2万円未満で買えましたが、今では3万でも買えるか怪しいところです。有名蒸留所であれば5万、6万は当たり前で、物によっては10万を超えます。これではなかなか手が出せません。

しかし、ラムはかなりお手頃です。ラムの生産国は温暖な気候のところが多く、熟成のスピードがかなり速いので、ウイスキーのように20年もの、30年ものといった長熟品は多くありません。よって単純な比較ができないのですが、それでも同一スペックで比べれば、ラムの方がかなり安いというのは事実です。

味に関しては、互いに互いの代替品とはなり得ない個性がありますので、ここは飲み手の好みによるところです。比較はできません。

こう言った事情から、「最近ウイスキー高いし、他にいいお酒はないかなあ」と考えていたところ、ラムがぴったりとハマったわけです。
ウイスキーは好きだけど、最近の価格には納得がいかないという人は、ラムを試してみるのがいいかも知れません。
他の酒類と比較して安いというのも、ラムの良さの一つです。

インダストリアルラムも好き…

ここまでアグリコールラムの魅力を語ってきました。中にはインダストリアルラムを貶めているような記述もあったことかと思います。
しかし、インダストリアルラムを舐めてはいけません。
確かに原材料で使っているのは廃糖蜜です。サトウキビの生搾汁に比べ、香味成分は少ないのは確かです。

でもインダストリアルラムもとても美味しい…
アグリコールラムは花やフルーツ、蜜といった華々しい香りがありますが、インダストリアルラムには野趣があります。また、樽熟成を経た物には、アグリコールに負けない風味があります。

ハバナクラブ3年は、少しの植物感に少しのバニラといった具合です。キレのある味わいで、ロックでもストレートでも美味しい物です。

他にもクレランというラムは非常に強い個性を持っています。
どっしりとした骨格がありますが、キレがあります。野趣そのものに感じますが、グラスに注いでからしばらくすると、実に心地よい香りが漂います。バニラや花を感じました。
これはカクテルベースにするよりはロック、ストレートで飲んで美味しい酒と言えます。

その他、「ラムの変態」とも言える有識者の間では、ハイエステルラムというのが流行しているとのことです。これは、通常より発行に要する時間を長く取り、エステル香を強く感じられるラムのことです。こういったラムは一回しか飲んだことがないのですが、フルーツの香味を強く感じました。パッションフルーツやアプリコットのような香りがあったことを覚えています。

まとめ

そろそろまとめに入ります。
本稿で私が言いたいのは、ラムは品質のいいものが安く買えるのでおすすめということです。また、世界中で生産されているため、多種多様な味わいが楽しめます。

私はまだまだ初心者ですが、これからもウイスキーとラムの二本の軸で酒への理解を深めたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?