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前略 丹沢山


前略 丹沢山

4年前の秋、小学生以来40年ぶりにあなたの元に訪れました。
その夏、父が長い施設生活の上82歳で亡くなりました。
山が好きな人で谷川岳や大山など弟と一緒に、連れて行ってくれました。
その父への慰霊のつもりで登りました。
最後に登った日からかなりの年月が経過していた為、なにも覚えていないとその時思っていました。
大倉尾根は普段運動していない体にはキツク、やっとのことで塔ノ岳まで辿り着き、そこで自分が作ったおにぎりを頬張りながら前方の富士山を眺め一息ついたのを思い出します。
こんな美しい場所あったのだと前方に聳える富士を観ながら溜息をつきました。
塔ノ岳を過ぎ、丹沢山までの登り下りの稜線を歩いていると、ふと、今年の夏休みはどこも旅行に連れて行けないので、山にでも行こうと連れてこられたあの夏の記憶が蘇ってきました。
弟と一緒に山道をピョンピョン飛び跳ねながら歩いた事、背中にビッショリと汗をかいて登る父の姿をそこにみつけました。
そんな思い出に浸りながらの下りは膝が震え何度も石に足を取られ尻餅をつき、また足を攣りながらやっとのことで下山しました。
あんなに辛かった山行なのに不思議と翌日にはまた登りたいとに思う様になり、そこから、毎週末どこかの山に行く生活となりました。
あれから4年全国200座あまりの山に登る様になり趣味のない仕事だけの生活から一転、山に取り憑かれてるのではないかという状態になっております。
山に登る様になり以前より精神状態は安定し物事に動じないようになり、健子診断で悪かった数値が改善する効果まで得ました。
また、以前よりイライラがすくなくなりました。
自然と接していると、より自分は生かされていると強く感じるようになりました。
これからも様々な山に登るでしょう。
そして様々な経験、また危険な状況に置かれることあるでしょう。
只、あの日丹沢の山に登って今は、本当に良かったと心から思っています。
これから末長く山に登れるよう健康に気をつけ家族を大事にし生きていこうと思っています。

PS
丹沢山は周辺の山々を全て含んでおりますので御容赦ください。

中原 四郎


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