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歯の移植

みなさんこんにちは!歯科医師Hachiです!

今日は「歯の移植」をしました。

具体的にいうと、むし歯でダメになった歯を抜いて、そこに親知らずを移植するという治療です。


「ん?どういうこと?抜いたところに親知らずを移植してくっつくの!?」
とかいろいろ疑問に思われるでしょう。

実際は、成功率がものすごく高い治療というわけではありません。

条件もあるので、毎回どんな人でも移植ができるわけでもありません。

なので、歯を失った時に第一選択となる治療方法ではありません。

ですが、逆に言えば条件が整っていればうまくいきやすいですし、うまくいけばインプラントのような人工物と違って、まさに自分の歯としてまた活躍してくれます。

そもそも、なぜそんなことが可能になるのでしょうか。

その一番のポイントは、歯根膜(しこんまく)です。

歯は骨の中に埋まっています。
その骨と歯をつなぐ組織が「歯根膜」です。

この歯根膜は、歯の根の全体を覆うように存在していて、その中には再生能力の高い細胞がたくさん含まれています。

ただ、再生する必要がない状況では、この細胞は眠っているのが普通です。
そこに歯の移植という刺激を与えることで、再生能力を持つ細胞を活性化させるのです。

活性化した細胞では、骨をつくる細胞(骨芽細胞)や、歯ぐきと骨が結合するのに必要な細胞が増殖します。

この結果、歯を支える組織(歯周組織)も再生し、移植した歯と周囲の骨をつなげられるというメカニズムが働きます。

・・・とまぁ、こんな感じで移植が可能となります。

ちょっと難しい話ですが、そんなことができるんです。


歯の移植のメリット

・歯にかかる刺激を伝える「歯根膜」が活かされるので、食べ物を噛む感覚を感じやすい
・歯根膜がクッションになるため、噛む力を和らげられ、噛み合う歯を傷つけない
・ブリッジのように周囲の健康な歯を削らないので、負担をかけにくい
・条件を満たせば保険を適用して治療可能
・移植した後に矯正治療が可能(インプラントの場合は埋め込んだ後に動かすことができません)

歯の移植のデメリット

・インプラントよりも技術的に難しい
・親知らずなど、移植する歯が必要である
・移植をする場所の骨の幅が必要
・外科手術が必要で、その外科手術を2か所の部位に行わなければならない
・ご高齢の方の場合、成功率が下がる可能性がある


デメリットに書きましたが、技術的に少し難しい場合があります。

なので、全ての歯医者さんがやってる治療ではありません。

気になる方はぜひお近くの歯医者さんに一度相談してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いします!

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