When The Storm Is Over
大きな玄関のドアを合鍵で開け中に入ると、月明かりが差し込むだけの暗いリビングに、蓮は居た。
ソファに深く腰掛け、背もたれに頭を預けて眠る彼の足元に跪き、その太腿に頭を乗せた。
あまりに疲れているのか、まるで起きる気配がない。
床には荷物とコートが散らばっていた。帰宅してすぐ座り、俺に一言だけメッセージを送って、そのまま眠ってしまったのだろう。
「来たよ、蓮。…大丈夫か」
返事は無いが、右手がゆるゆると動いて、俺の頭をゆっくり撫でた。
その声は掠れて小さい。
「あり