あの頃は若かった、そう若かったのだ。
上京のはなし。
高校を卒業して、初めて働いたのは『西東京市』だった。住んでいたのは、隣の新座市だったけど。
職場は、いまでも駅前に鎮座する某百貨店。
なにか目的があって上京したわけではなく
実家に居たくなかった、そう、そんなありきたりな理由。
大学生だった姉が、家族と揉めている私を不憫に思ったのか、二人で暮らせる広さの部屋に引っ越してくれたので、そこに転がり込むかっこうになって一緒に住んだ。ほどよく都会でほどよく田舎でいい街だった。
そして、仕事を始めたその百貨店では色んな人に出逢うことになる。
同じオープニングスタッフだったK、Yさんとはプライベートでも飲みに行ったりするくらいには仲良くなった。
Kさんは6歳くらい上で姉御的な存在。お酒の飲み方を教えてくれた人。
Yさんは3歳上で女子大生。めっちゃ歌がうまい人。
店長はというと…4歳上の新任。Kさんに怒られていつもしゅんとしてた。
同じ時期にオープンした他の店舗で気が合う人たちもいて、その中で彼氏が出来たりもして、和気あいあいで毎日楽しく仕事をしていた。公休日なのに、店に行ってたり。
オープンから何ヶ月か経つと、店長が変わって店の雰囲気も変わって新しい人も入って…と変化していくのは仕方のないことなのだけど
その店長も独特な世界観の人で、新人と、揉める揉める。
(私は順応力オバケなので全然平気だった)
嫌気がさしたKさんとYさん、新人、と一気に辞めてしまい
私と店長(プラスたまに応援人員)で店を回すことになる。
しかも、そのときその百貨店沿線の名前が入ったスポーツチームが優勝してしまうという怒涛の展開。
喜ばしいことなのに、なにが「怒涛」かというと…
【優勝セール】というものが開催されてしまうから!!!
人員不足のなかで、店長と私が交互に14連勤するという暴挙なシフト。
休みの日は家で泥のように眠る、という2,3ヶ月。
若いから出来た、という言葉が一番しっくりくる日々だった。
そう、あのころは
なにはともあれ
若かった、若かったのだ。