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5月の風

あの日以降、時が止まったようだ。いや、正確には、時が止まったのではなく、生活が180度変わった。

あの日とは、今年の一月、3学期が始まって間もなくのこと。学校から帰ってきた次男の様子が、いつになく元気がなさそうだった。心配な面持ちで玄関に行くと、次男は泣きべそをかいて、学校で過敏性腸症候群の症状を揶揄されたことを打ち明けてくれた。

このときは、まだ、過敏性腸症候群のことをよくわからず、でも、何かこれは大変なことがおこっていると思った。              「明日、病院へ行こうね」と言った。

この日を境に、次男は段々と学校へ行けなくなった。部活も、はりきって、楽しそうだったのに。

塾も張り切って通っていた。過敏性腸症候群の症状が出るまでは。

外は、風薫る5月。青い空とさわやかな風。

学校に行かなくなって、家の中にいる息子にこの5月の風と青い空を感じてほしくて、季節を体感して欲しくて。息子は何も悪くない。もし、わたしが同じ症状が出ていたら、息子のように、学校のようなところへは、行けなくなっていたと思う。過敏性腸症候群さえ、治ったら、学校へ行けたのに。わたしは、今、 55歳。55年間生きてきて、わたしがこれまでに経験したことのないような苦しみを、息子は、たった14歳で体験している。そう思うと、いても立ってもいられなくなる。今日は、今まで学校であった嫌なことをいくつか、聞いた。こんな目にあっていたんだね。よく耐えたね。

ずーっと、息子の学校の体操服を洗っていない。前は、泥のついた体操服を洗うのを、めんどうだと思ったりした。体操服を汚して帰ってくることは、本当は幸せだったんだなあ。また、洗いたい。あの平凡だと思っていた日々は、とんでもなく幸せな日々だった。

どうか、また、あの日々が戻ってきますように🌱


小麦を食べられなくなった息子に、米粉のクッキーを焼きました。

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5月の風さん🍃🌱🌿息子たちをさわやかに抱いて息子たちの心身を癒してください。