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【読書記録】時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。

アルバイトを掛け持ちしながら、音楽と相撲のライターを生業としている著者が、自身の生きづらさの理由を、実際に国会議員に聞きに行くという内容。
こんな切り口の政治本って今まであったかな。簡単に分かりやすく解説したものはあったとしても、著者はたいてい専門家や、少なくとも詳しい人だったのではないかと思う。
決して政治知識が豊富とは言えない著者が、国会議員の小川淳也氏と面談を重ね、様々な日本の問題に切り込んでいく。人口問題、財政、住宅問題、働き方、移民、原発、沖縄基地問題…。
どんなに分かりやすく説明されていても、やっぱり理解が難しい部分はある。だけど少なくとも、なんとなく遠く感じていた問題を、「他人事じゃないぞ、私たちみんなの問題だぞ」と感じることはできた。

政治に関心がないわけではない…
でも難しくて良くわからない…
私一人が何かをしても変わらない…

そう思っている人は多いんじゃないかと思う。でもだからって何もしないとほんとに何も変わらない。お借りした画像の猫ちゃんのように、「むむむと疑問を感じたら、ちょっと止まって考える」ことが大事なんじゃないかな。一人一人がそうして、「関心がないわけではない」の一歩先に踏み出すことで何かに繋がるし、それがたぶん民主主義なんだろうなと思った。

この本の中で、いろんな政策や政府の対応が、なぜそうなっていったのかを読んでいくうちに、「人の暮らし」や「個人を尊重すること」が後回しになっていることに気付かされる。
政治って、私たちの暮らしに直結しているし、一部の人たちが回すものじゃない。「しかたがない」と傍観していてはいけない。それってもう民主主義を放棄してるってことだから。著者も、最後は「私の不安は日本の不安だった」というところに行きついている。
みんなが自分事として考えて、そして政府は不都合なことを隠すのではなく、全部見せてほしいなと思う。うまくいかなかったり、間違っていたりしたら、ちゃんと謝るってことをしてほしい。国とか政府とかじゃなく、人間としてそれができる人って結果的にすごく信を得ると思う。

そして本書の最後は「幸福とは」というテーマになる。
確かに、きちんと考えたことがなかったかもしれない。とりあえず家族は元気だし、毎日が何事もなく過ぎていけば、それが普通で、普通がいちばん幸せと思ってしまいがちだ。それ以上を望むのは贅沢だと。だけど本当は、もっと追求してもいい、追求すべきものなんじゃないか。そう気付いた。

幸福を思い描きやすい環境に近づける、それができる可能性を秘めているのが政治だと思います。

260ページ

私は不安をそのままにせず、不安を解決するよう、政治を考えることを続けたい。当事者として、あきらめることは、止める。これから先、私は、私なりの幸福にあるのだ。

261ページ

私も、分からないからって見て見ぬふりをするのはやめよう。分からないなりに、関心を持ってちゃんと見るようにしよう。そしてまた、分からない人を置いてけぼりにしない、ちゃんと説明してくれる政治であってほしいと願う。

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