危険物取扱者乙種4類を取得した話

ガソリンスタンドでアルバイトしていた時分、店長がしきりに危険物取扱者を取れと言う。どうやらわたしに灯油の配達をさせるつもりらしい。理由は、わたしが中型自動車免許(8t限定)を持っているから。

店には社員が4人いたけれど、配達ができるのは店長と副店長の2人だけである。タンクローリーを運転するのに中型免許が必要だからだ。2人の平社員はまだ若い。中型免許の受験資格がないのである。当時は、まだ準中型免許がなかった。

一番若い社員は高卒入社1年目で、危険物取扱者すら持っていない。「会社から取れって言われて試験は受けたけれど、全然勉強してないから落ちた」と言っていた。そして入社1年経たずに退職した。

わたしも同時期に退職した。理由は店長のパワハラである。ミスをすると胸ぐらを掴まれたり、今まさに車を拭いていたウェスを顔に押し当てられたりした。こんな店、もううんざりだ。もう使うこともないけれど、店長へのささやかな意趣返しに資格だけは取っておこうと思う。

危険物取扱者

危険物とは、簡単に言うと「火災、爆発の恐れがあるもの」のこと。一定数量を超える危険物を取り扱うためには、危険物取扱者による作業、監督が必要となる。危険物は第1類から第6類までの6種類に分けられる。

  • 第1類:酸化性個体(塩素酸カルシウム、硝酸アンモニウムなど)

  • 第2類:可燃性個体(赤リン、硫黄など)

  • 第3類:自然発火性物質及び禁水性物質(カリウム、黄リンなど)

  • 第4類:引火性液体(灯油、ガソリンなど)

  • 第5類:自己反応性物質(ニトログリセリン、アジ化ナトリウムなど)

  • 第6類:酸化性液体(過酸化水素、硝酸など)

危険物取扱者には甲種、乙種、丙種の3区分ある。甲種は全ての危険物を扱える。丙種は4類の一部のみ扱える。乙種は類ごとに分かれ、合格した類のみ扱える。

ガソリンスタンドでの業務には、甲種か乙種4類が必要だ。甲種には受験資格があり、わたしは満たしていないので、受験資格のない乙種を受けることにする。

乙種4類試験

試験科目は次の3つ。各科目ごとに60%以上の得点で合格となる。つまり1科目でも60%に届かないと不合格ということ。

  • 危険物に関する法令

  • 基礎的な物理学及び基礎的な化学

  • 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法

1ヶ月の勉強で合格することができた。高校で物理を選択していなかったこともあり、基礎的な物理学及び基礎的な化学の得点がちょうど60%で冷や汗をかいた。なにはともあれ合格したので、「あーあ、店長がもうちょっとまともなら灯油配達してあげたのになー(ニヤニヤ)」と思って溜飲を下げることができる。2023年2月現在、一度も活用する機会がないけれど、わたしは満足だ。

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