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今日もまなざしを交わして

題名:子どもへのまなざし
著者:佐々木正美

長女の出産前後、ふとした空き時間が多くあったので読書がとても捗った。
特に育児本はオーソドックスな発達の指標になるものから、コミカライズされた手軽なものまでいろいろと読み漁った。
そんな育児本読書熱も、おおかた冷めた頃に出会ったのがこの本である。
親の気持ちに寄り添って、でも子どもの気持ちを代弁してくれる本だった。
読了以降、育児本のオススメはまずこれを推すことに決めている。

著者の佐々木正美先生は児童精神科医で、たくさんの子どもや子どもに携わる人々と対話をしてきた方だそうだ。
佐々木先生に語りかけられているような優しい言葉で綴られた本著は、なるほどと納得できる内容であり、それでいて新しい発見も多い。

以下は引用文(一部略)である。

〇子どもが望んだことに、望んだとおりにこたえてあげるのは、生後一歳半くらいまでがいちばん重要だと言われますが、できれば二歳くらいまで、そういう気持ちで育児をするのが大切…(中略)人を信じ、自分を信じる力が豊かに育っている子どもは、たいへんしつけや教育がしやすい。

〇みたこともないようなことに出会うと、どんなときも子どもは、「おやっ」と思ったり、「ぎょっ」としたりする。そんな場面にでくわすと、子どもはかならずふり返ります。自分を見守ってくれている人の視線を期待しているのです。

この部分はとても印象に残っている。
長女の育休中、日々娘と向き合う中で、思い通りにいかないことにイライラしたり、社会と隔絶されてさみしい気持ちになっていたりしたのだが、「今が大事なんだ」と優しく強く言われた気持ちになった。
この時期に一緒にいなくてどうするのだ、と。
思い返してみれば、振り返るといつも娘と目が合ったのは、きっと彼女がいつも私を見ていたからだろう。
そんな彼女に、私は望んだとおりに応えられているだろうか?

更に本文中にはこのような話も出てくる。(以下引用)

〇幼い子どもが、はじめて出会ったことにたいして、「どうすればいいのかな」とふり返ったとき、親や祖父母や保母さんや幼稚園の先生などの視線が、かならず見守ってくれていて、どうすればいいか教えてくれる。そういう過程をとおして、幼い子どものなかに育っていく人間的な感情や感性を、ソーシャル•レファレンシングとよぶ。

〇ソーシャル•レファレンシングは人間が社会的なルールを守りながら生きていくために、その基盤をなす重要な感情であるともいえます。人と人が共感し合って、そのことを誇りと感じ合って生きるために必要な感情なのです。

この部分から、私はどう子育てすればいいのかというシンプルな答えをもらった気がする。
私は娘を「人を信じられる人」に育てればいいのだと。
周りの人を信頼できる、そこで生きることを幸せに思えるには「いつも見ている」まなざしが必要なのだと。
この答えにすごく、すとんと納得できたのだ。

そして今日も娘とまなざしを交わしている。
あ、今日はなんだか折り合いが悪いな、という日はたいてい娘の目を見れていない日。
特に次女が生まれてからの長女とは、以前よりも目を合わせている。
目を合わせるとにっこり笑ってくれるから、やっぱりまだこのまなざしを必要としているのだろう。
いつか自分の進む方にしか目を向けなくなってしまうだろうけど、今はこのまなざしを何度でも受け止めていたい。

次女が産まれて再読したので、ここに記しておきます。

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