「魂はおいしい」のだそうです。 2

自分に代わって誰かに排泄をしてもらうことはできないし、自分に代わって誰かに食べてもらうこともできない。だけど、自分が感じたくないものを「親密な人」に感じさせることは、可能。自分の厄介な荷物を押し付けて身軽なふりをすることは、可能。

おじさんの愛息がどうかわいそうかという話。
フランスに、おじさんは息子を留学させてあげたんだそうだ。息子の希望かどうかは知らない。ところが息子はフランスへ着くや否や「悪い風邪をひいて帰って来たんだよ!」
おじさんは「遺憾だ」というようにかぶりを振って「かわいそうだ!」を連発した。
それ以来息子は軽井沢の別荘に籠っちゃって「外に出られないんだよ」
ここで、「かわいそうに!」入ります。

かわいそうだとわたしも思った。
怯えるその人が目に浮かんだ。
うちとはかけ離れた生活水準。彼は死ぬまで食べる心配とは無縁でいられるかもしれないが。
彼は父親の結構な檻に閉ざされて終わることになるのかも知れない、と思った。


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