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年とった子ども

1997年8月30日(土)
年とった子どもがいた。
髪は真珠のようだ。顔は紙のように白い。
あまり明るくない部屋に、大きな机。人が大勢。100歳くらいに見えるしわしわのお婆さんと、お婆さんの隣の4、50代の男、まばたきしない。
華やかな女の人が身を乗り出して年とった子どもに声をかけた。
「タンて、なんだか知ってる?」
「舌のことでしょう?」
「ふん、タンていうのはね、『どうしようもない』って意味があるのよ。
そんなことも知らないの?
自分のことはわからないのね。ふふふ・・・」
万座の中で年とった子どもを嘲笑するためになされた質問、ゲームだった。

年とった子どもは深く沈んだ。顔がまるで消えてしまった照明のようになった。眉頭と口元の4点に青い光が浮かび上がった。

年とった子どもには、自分が華やかな女の人に憎まれ蔑まれていることはわかり過ぎるほどわかるのだが、その理由はわからなかった。


2022年7月2日(土)
「そんなことも知らないの?!」
あの人の好きなセリフ。

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