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赤 緑 黒

1997年4月25日(金)
赤い水──ダム? 池? 大きな湖?

緑の川の浅いところでわたしは舟に乗っていた。大河おじさんが胸の下くらいまで水に浸かって舟の綱を引き、時計回りに回った。
けっこう舟が混み合ってた。
葦は、ばらばらと。
なつかしすぎる水の色。

空の下の野に暮らすおじいさんとの話──ふっくらと栄養がありそうな黒い地面。小石。緑。赤。
「赤と緑のことをさかんに言っていたけども、黒がなければ何も無いんだよ。
この砂鉄を水で洗ってごらん。素晴らしい黒になる」
既に素晴らしく見えていた「黒」が、輝く水で洗われて、もっと素晴らしい「黒」になっていったのを見た。


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