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2023年のビールはどう変わる?〜税制改正は味わいに影響を与えるか〜

2023年10月にビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の酒税が変わります。具体的には、ビールの税率が下がり、新ジャンルの税率は上がって発泡酒と同じ税率になるため、これまで3つに分かれていた税率が2つに統合されます。

この改正は2020年から2026年にかけて段階的に行われる酒税改正の第2段階で、最終的には「ビール」「発泡酒」「新ジャンル」の税率が統一されます。

(参考)酒税に関する資料 _ 財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm

税率の変更は販売価格にも影響を与えるでしょう。2023年春は、新商品の発売や主要商品のリニューアルなど、各メーカーがビール商品の充実を図っているように感じられました。そんなビールについて、マーケットデータと味データから変化を探ってみます。


ビール系飲料の売上推移

出典:FOODATA ID-POS(SM) カテゴリートレンド分析 ビール

図は、2020年以降の分類別の売上推移(金額PI値)です。

ビールは毎年12月に売上が増加しています。お歳暮や忘年会・年末年始など、贈り物や特別なときにはやっぱりビール、という消費者意識が窺えますね。

2020年10月に新ジャンルの売上が大きく減少し、その後ビールと新ジャンルの売上は逆転していきます。これは、2020年10月に税率改正が行われ、ビールの税率が下がり新ジャンルの税率が上がりました(発泡酒は変化なし)。税率の変化が売上に影響しているようです。

ビール系飲料の購入率とリピート率

出典:FOODATA ID-POS(SM) 商品分析 トライアル・リピート分析

購入率とリピート率を図にしました。円の大きさは、各年度の金額PI値を表しています。

2020年度は新ジャンルがリピート率でビールを上回っていましたが、2022年度には購入率・リピート率ともにビールの方が高くなっています。以前は新ジャンルの価格が安いことから日常使いとして購入されていたのが、税率改正によってビールとの価格差が小さくなったことで相対的にビールの値頃感が増し、日常的にビールを選択するという人が増えているのではないでしょうか。

今年10月の税率改正で価格差はさらに小さくなると予想され、「新ジャンルは安価なビール代替品」というイメージは変わっていきそうです。

ビール系飲料の味わいバランスマップ

今年さらに変化が起こりそうなビール系飲料。味わいに変化はあるのでしょうか?

ビールの味わいのうち「苦味」と「キレ」に注目し、2023年春の新商品・リニューアル商品の味のバランスをマップにしました。

味香り戦略研究所ではこれまでも同様の分析を行っており、ビール系飲料の中でビールは苦味が強く酸味の少ない味わい、発泡酒・新ジャンルは酸味が強いという傾向が見えてきています。

2023年春の新商品は全体的に苦味が強い傾向にあり、ヱビスビールやプレミアムモルツといったプレミアムビールや、スプリングバレー(クラフトビール)など、各社がビールらしい特徴を強化しているのではないでしょうか。

ビール以外にもチューハイやノンアルコール飲料など、お酒の選択肢は広がっています。次世代アルコール飲料と言われるハードセルツァー、「あえて飲まない」ソーバーキュリアスの登場も記憶に新しいところです。

今後も各メーカーが新商品やリニューアルを展開し、競争が活発化することが予想されます。ビール愛好家や消費者にとって、新たな選択肢や味のバリエーションが提供されることで、楽しみな変化が訪れることでしょう。


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