指す将順位戦6th A級2組10回戦 VS masterさん

対局について(後手急戦矢倉)

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masterさんの棋譜を調べたところ、対振り飛車には鳥刺し模様で戦うのを得意にされているようでした。相居飛車になると力戦系で途中から中飛車に振るような棋譜もあり、警戒していました。

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【第2図】の▲8八銀で一局の将棋ですが、できればこの壁銀をとがめたいところです。参考例として思いつくのが2002年1月7日A級順位戦の羽生-森下戦で、羽生さんの壁銀に対し、森下さんが雁木~中飛車で咎めて圧勝した将棋です。今回は後手の私が矢倉になっているので同じことはできませんが、やはり中央から攻めたいところではあります。

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【第3図】では後手は中央から攻める準備を進めています。

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【第4図】で△5五歩と仕掛けました。本当であれば△6三銀や△1四歩を指してから仕掛けたいところでしたが、▲4八金~▲5九飛などと指されても仕掛けが無くなってしまいます。本譜は△6二銀が攻めの応援に効かない代わりに、①早い仕掛け、②5三や5一が堅い、というメリットはあります。
▲8八銀が壁のうちに強気に攻めることにしましたが、結果的には良かったようです。

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【第4図】から▲5五同歩△6五桂▲5九角△5五銀▲同銀△同角【第5図】。最後の△5五同角は手拍子の悪手。先に△5七歩を利かすのが大事で、それから△5五角とすべきでした。というのも【第5図】で▲5七歩と埋められると攻めが細くなってしまうためです。(それでも厳密には後手よしだが、かなり複雑な手順となる)

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本譜は【第5図】から▲5六歩△5七歩【第6図】と大きな拠点ができたため、はっきり指しやすくなったようです。ここも△8八角成と角を切ってから△5七歩もありますが、ギリギリまで壁銀には触らない方が寄せやすいと思います。

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【第6図】から▲4八金△5八銀【第7図】。▲4八金とかわすのも仕方ないところです。

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【第7図】から▲6八玉△5九銀不成▲同玉【第8図】。ここで決め手があります。

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【第8図】から△8八角成▲同金△7九角【第9図】。最後の△7九角が△5八銀打からの詰めろと8八の金取りの両狙いで決め手となりました。

古い急戦矢倉はこうして5筋から攻めるものが多いですが、△4一玉型で戦場に近いため、逆用されて▲5三歩のような筋で負けることも多いです。
ちなみに、居角左美濃急戦は本譜のような急戦と違い、5筋を絡めなくてもうるさい攻めを繰り出せることが画期的でした。
しかし今回は壁銀をとがめるという意味で、古い急戦矢倉の中央を攻める構想に利があったようです。

ともかく、途中の手拍子のミスは反省で、改めて丁寧に指していきたいと思います。

A2→A1への昇級確定

本局の結果により9勝1敗で2位以上が決まり、A級2組からA級1組への昇級が確定しました。
将棋の内容としては負け越しもあり得ました。さらに精度を高めて丁寧に指す必要があると思います。
第3期にA1で1勝10敗で降級してから、A2の3期目でした。今ならA1でも、もう少し勝負になるのではないかと思います。
最近ははっきりと実力の向上を感じており、この指す将順位戦で真剣に考えて指す機会を作っていただいたおかげだと思っています。運営の方々、参加者の方々、ありがとうございます。

最終局は私の1位通過と来期順位がかかっており、対局相手の方の降級にも絡む対局になります。今期全体の個人的なテーマでもある「丁寧に指す」ことで締めくくれるようにしたいです。

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