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勘違い。

特急列車の最後尾に乗り、キャリーケースを後ろのスペースに置く作戦は成功した。

隣のきれいなお姉さんも同様の作戦のようだ。

富士山を横目に眠りにつくのも時間の問題だろう。

そんな間もなく後ろからゴロゴロと転がる音がする。

キャリーケースが特急列車の揺れに負け連結部分に逃げ出したのだ。

お姉さんのキャリーと共に。

多分熱海あたりだったと思う。

キャリー達が熱海に逃避行したかったのだろう。

だから多分熱海あたりだったはずだ。

多分熱海ってそうゆうとこだ。

急いでお姉さんとキャリーを捕まえ二人で説得した。

私もお姉さんと逃避行したい。


どこまで行かれるんですか?

私は、東京から乗り換えで新潟に行くんですよと、答えた。

この後お互いの旅の話をしてなんなら連絡先の交換もあるぞ

そう思った。


そんな事はさらさらなく、

私、品川で降りるんで。

そうサッパリと言い放った。

キャリーの取り出すタイミングを計っていただけだった。

ある意味映画のような展開ではあった。

見送った後、品川東京間でコーヒーをこぼすはずだ。


何事もなく東京に着いた。

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