【感想】バディミッションBONDは熱い少年漫画が好きな人におすすめなADV【ネタバレ有】

2月に買ったゲームなのですがやっとクリアしました。プレイ時間は35時間ほど。想定よりめちゃくちゃボリュームがあって驚きました。ボイスを飛ばし飛ばしなので多分ちゃんと聴いたらもっとかかる。


せっかくなのでネタバレ有感想。

個人的な評価としては星3.5くらいかな〜って感じ。

キャラは大変魅力的で楽しめました。なのですが、潜入パートの出来が物足りないので−0.5、謎解きの難度が低すぎるので−0.5、ストーリーの大筋も面白かったけど若干インパクトが弱いと感じて-0.5って感じです。

【キャラの魅力】

まず好きだったのはキャラ!

まず自分がこのゲーム買った理由から「おじさんキャラがいる!!」でした。ヒゲのおじさんはサブキャラにはよくいるのですがメインで据えられるのは中々珍しいのです。(ヒゲが性癖な筆者)


ですがやってるうちにどのキャラも好きになっていきました。メイン4人は掛け合いしてるシーンとかが大変楽しい。

後メインの4人は初期の印象からガラッと変わったキャラ達が多くてそのギャップも良かったです。

一人一人軽く述べていくと

ルーク:王道主人公だと思ってたら、実は信じてたものも自分自身も偽物だったというキャラ設定が重くて衝撃的でした。からの仲間との絆を思い出してHEROゲージが復活するというゲームならではの演出はすごい燃えました。後ルークはとにかくまっすぐで「圧倒的光属性……!」って感じでめっちゃ好き。バディエピソードのモクマさんもチェズレイもルークのことは微笑ましく思ってる感じアーロンの名前を借りてたって設定もエモい。そして実はヒーローになりたいルーツが父親関係なくもう最初っからというのが主人公属性すぎて凄い。衛宮士郎って感想見かけたのちょっと笑った。ゲームが違えば狂気として描かれそうな感じはある。


アーロン:脳筋枠かと思ったら話が進むにつれ4人の中ではツッコミ役をすることが多いの好き。感性が1番常識人っぽい。チェズレイとモクマが重いものを孕んでるけどアーロンがサバサバしてる分、その2人とのバディエピソードは軽快でさっぱりしたやりとりが多いのも良い。ルークとの会話はVSイアンを経た後はもう完全に相棒って感じで楽しんで読んでました。そして過去編でルークとの関係性が明かされた時はうわあ…再会できて良かったなほんと…ってなりました。

アーロン自身は出会った初っ端から気づいてたのにルークは記憶失ってたってのも本当に切ない。1話軽くやり直したら、ルークが警察手帳見せてるのに「ルーク!?」って名前に反応してるとか細かい伏線貼られててうわーーすげえ!ってなりました。ここのアーロンの内心ヤバそう。

通常ENDのアーロンが助けに来るシーンとか相棒感あってすごい好き。


モクマ:漢字が黙真なのかっこいい。その名の如く、長年主人を殺した真実を村には話さずに生きてきた男。モクマさんの下衆な一面が「主人に後追い禁止されたから自分を殺してくれる人を探していた、だからチェズレイを利用しようとしていた」なのそれまでの優しい雰囲気から一気に狡猾な面が見えて闇が深いおじさんはイイネ!ってなりました。でもやっぱり根は優しいので困ってる人は助けたり(これも死ねるからってのはありそうですが)するのが良い。

バディエピソードでは親しげなように見えて、確信は触れさせない距離感を持つモクマに、ルークが「僕は未熟だからモクマさんも悩みを話せないんだ…」みたいなことを思ってるのが切ない。この2人のご飯エピソードどれも癒されて好きです。モクマが作った食べ物をルークが美味しそうに食べるあまり、警戒してたマイカの里の人々も食べるようになるエピソードすごい好き。終盤もモクマはルークに先輩として凄い優しく気にかけてくれてるのほっこりしました。

そんな太陽属性のルークが拾えなかった心中を、チェズレイが北風のように土足で踏み込んで結果的にモクマさん救ったのちょっと力技すぎて笑いました。童話だと太陽が勝つのに!モクマさんが近づくと離れるからチェズレイみたいな人じゃないと救えなかっただろうなあ。

チェズレイに本音をぶちまけてマイカの里関連も落ち着いた後は、モクマさんも吹っ切れてチェズレイに軽口言えるようになったの良かったです。


マイカの里関連はタンバがフウガを庇ったせいで全てが悪化したのちょっと笑いました。ある意味あの村の価値観ならタンバが責任取ってフウガ殺すとかも許されそうだからそれが一番丸く収まったんじゃと思わなくもない(酷すぎる感想)

ていうかタンバが庇わなければ別に死者は出なかったというのもひどい。フウガがグレたのはタンバがモクマに愛情偏らたせいでもあるし。大体タンバとフウガのせい。


チェズレイ:プレイ中1番イメージが変わった人。最初は異様にモクマに執着して揺さぶったり、バディエピソードでルークを騙して人の金を勝手にギャンブルに使わせたりと「なんだこいつ…」という感じでした。行動原理がとにかく分からず、なのに不穏な感じなのでハラハラさせるキャラ。

けれど、マイカの里あたりやエドワードとの因縁が明かされたあたりから「元エドワード推しの現モクマさん厄介勢」というイメージがついてから一気に好きになりました(ひどい印象だ)

話が進むにつれて、優しさが垣間見えるのがいいですね。モクマに対しては言わずもがな、ルークに対してもエドワード関連に対して気遣ったり優しく手当してあげたり、最後に野菜と大長編押し付けてるのとか、最初と比べると随分丸くなって微笑ましかったです。

プレイ中何故かチェズレイパピー=ファントムと勘違いして「えっルークと実質兄弟?」とあらぬ誤解をしました。途中で別人だと気付いた。

後ルークとスイも兄妹だろうなーと思ってました。全然違ったけど、こっちはそこそこ同じ予想してた方がいてだよね!となりました。

アッカルドの息子の死は恐らく偽造→ルークはエドワードに引き取られるまで孤児たった→つまり…って考えをした人が多かったのかもしれない。自分はそうでした。

シキはマイカの関係者かな?とは思ってたけど何故かアッカルドの息子って考えに行き着かなかった…悔しい…。その情報出た前後でインパクトある死に方(偽造)してたからそれで吹っ飛んだのかも知れない。

【ストーリーの魅力とボリューム】

バディミの個性的な部分と言えるのがストーリーのボリュームが多い上、サブストーリーの数が多いところでしょうか。

ストーリーは王道少年漫画のように、ルークアーロンとモクマチェズレイがバディとして絆を深めていく展開や、犯罪組織DISCARDを追っていく洋ドラみたいな展開が重厚で読み応えありました。後半の畳みかける展開が特に好き。

また、捜査パートや潜入パートではキャラの組み合わせでセリフがガラッと変わるの凝ってるなぁと思いました。色んなキャラで組み合わせたかなるやつ。

また、バディエピソードというBOND諸君の全通りのペアのエピソードが用意されてるのめちゃくちゃキャラを大切にしてるなと感じました。

本編だとルークアーロン&モクマチェズレイのペアの描写が多いのですが、ここだとそれらの掘り下げは勿論、ルーク&モクマやチェズレイ&アーロンなど他の組み合わせの会話も堪能することができます。キャラの組み合わせごとで、キャラの話し方や相手への接し方がガラッと変わるので色々な面が見れるのすごい楽しかったです。モクマルークのご飯エピソードは毎回読んでて和みました。後チェズレイルークはどんどんチェズレイがルークに丸くなってるのかわいい。


また、またひとつサブストーリーというものもあります。これは他のキャラクターなども登場する本編の補完エピソードなのですがボリュームがめちゃくちゃ多くて笑った。

サブキャラだと思っていたキャラ達がこれでもかというくらい補完されています。最終話がそれまでのサブキャラ勢揃いだったこともあり、どのキャラも大事にするぜという製作側の気合いを感じました。

そのサブキャラにも力を入れた描写のおかげで自分が一番涙腺にきたのがアッカルドさんが殺された場面になりました。いや本物のアッカルドさんひたすら良い人で良いパパだし…なのに何も悪くないのに息子は失い果てに殺されるという……。


その余波で時計塔の地下で、アッカルドさんとイズミのボイスメッセージが残ってシキに届くのも相当涙腺にきました。若本のあんな優しい演技ずるいぞ。


通常ENDとアナザーENDが用意されてるのもよいですね。通常ENDも派手な展開とルークでも最後まで和解できない人もいるという現実感あって良いENDで好き。


アナザーのシナリオ読むとミッション18が変化するって演出からの、救えなかった人を救うってコンセプトはそれはそれとして熱かった。シキは追加戦士で実質BONDメンバーやろ…と思ってたのでこの救済はうれしいかったです。エドワードも救えたのはエドワード自身にとってもだけど何よりルーク自身にとって良かったんだろうなと思ったり。

ルークが「また会おう!」みたいなこと最後に言ってたので、2は出て欲しいですね。逆裁みたいに同じキャラで別の事件解決する感じで続いてほしい。

【惜しいところ】

上記に挙げた点は大変素晴らしかったのですが、擁護しにくい不満点もあり本当に惜しいゲームという感じ。


一つは話のインパクトの物足りなさ。これは逆裁やロンパが好きだからこそ感じたのはあるかもしれません。

この2つのシリーズは寝るまま惜しんで連日プレイして一気にクリアしました。その理由はどちらも類稀なセリフセンスがあるのと、「なんだこれは!?」「こんなめちゃくちゃな展開でこの後どうするんだ!?」って続きがすごく気になったからというのがあります。


例えば逆裁なんかは一つ一つの事件が突飛なのが多くて印象に残るんですよね。逆裁3のなるほどくんの偽物が出た事件とか、ヤハリの絵とかめちゃくちゃ印象に残ってる。


バディミは多くの伏線があり、更にそれを全て回収するという凄い誠実で優等生的な作りなんですけど、上記2作品に比べると若干「続きがすごい気になる!」という感じが不足しているように思いました。


このゲーム実はミッション8くらいまでクリアした後1ヶ月くらい放置して、ここ1週間で一気にクリアしました。途中で放置してしまったのはそこが大きいかも。因みに再度やり出した理由は「ポケスナ買うと話忘れて絶対永遠にクリアしない気がするから、それは避けたい」がデカいです。


ファミ通のインタビューで制作陣が「本をめくる作業は飽きない」みたいなこと書いてたんですけど、(ちょっとうろ覚え)続きが気にならなくなると普通に飽きて途中で読むのやめるのではないかと少し思いました。

せめて謎解き要素がもう少し強ければゲーム的な面白さでやる気がもう少し出たのになという印象。選択肢とかも数多く出るんですけど簡単すぎる&ただの記憶クイズが多くて若干やるのダルくなってしまったんですよね。


マイカの里とか優男を子安が演じてると分かった時、このキャラが優男で終わるはずがない…章ボスじゃん…!ってメタ予想してしまい、本当にその通りだったのはちょっと笑いました。


ドストレートな展開が来た瞬間「このゲームは少年漫画的な作品で逆裁やロンパみたいなミステリ要素は目指してないんだな…」と思いました。


まあマイカの里〜クライマックスは謎が多かったモクマさんのアレコレやラスボス戦ということもあり一気にやれたんですが。でも次回作がもし出るならなんかミステリー作家の監修つけるとかしても良い気がする。


冒頭でキャラは大変魅力的と書いたんですが、どっちかっていうとそれと本筋はまあ面白いストーリー、これらだけでもってるゲームという印象はありますね。


また、潜入パートは存在自体は面白いと思いました。多分丁寧に作ってたらすごい良いゲームになってたと思う。

でもこれも謎解きの難度が低い&QTEが簡単な上洗練されてない感じで大分ゲー無感が強くなってた印象。

ただQTEは(判定が分かりにくいのもありますが)難しいって意見も見かけたので難易度調整って難しいなと思いました。ADVプレイヤーと相性良いシステムとは思えませんしね。

ダンガンロンパ2のアクション要素は楽しめたので作りようって感じは否めませんが。

あと何より、周回プレイ前提のゲームなのに2週目で潜入パート飛ばせないのがめちゃくちゃ不便でした。ミッション12は2週した後うっかりアーロン&チェズレイのサイドストーリー解放条件だけ取りこぼしたことを知り絶望しました。


3回目はもうやる気がでないので唯一この2人のサイドストーリーだけ全解禁出来てません…他のストーリーは全部回収したのに…なんか気持ち悪い……。ミッション12の潜入パート長いんだもん……。


とはいえやはり魅力的な部分は多く、買ってよかったと思えた作品でした。

設定資料欲しい。村田絵のラフ画すごいもっと見たい。立ち絵がコピックで塗ったみたいだったり、会話パートがコマ割りのような演出だったのはマンガっぽくて良かったです。



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