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読書録005:ステートファースト

読書録005です。コニカミノルタ出身のエグゼクティブコーチ、玉本潤一氏の「ステートファースト」です。

社長になってから、今までのキャリアとは全く違う種類のストレスを抱えるようになっていました。毎日起こるいろいろな課題への対応、PLターゲット達成へのプレッシャー、メンバーみんなのモチベーションマネジメントなどなど、「一生懸命頑張る」ではちょっと受け止めきれないな…と思うタイミングがありました。やらなくてはいけないことがたくさんあるにも関わらず、どうしてもやる気になれず仕事が捗らない、そんな自分にも嫌気が差し、さらにモチベーションが下がる…という悪循環でした。

とはいえ、そんなことも言ってられません。ぼく自身のパフォーマンスは、会社全体の士気にかかわりますし、それはお客さまやパートナーさまへのサービスレベルに直結します。グローバルで見ても日本市場は非常に重要で、ここで元気を失くしているわけにはいきません。

そんなときにふと手に取ったのがこの「ステートファースト」でした。結論から言うと、ぼくと同じような悩みを抱えているビジネスパーソンにぜひ読んでほしい素晴らしい本でした。今このタイミングで読め、本当にラッキーでした。

本書からの抜粋

  • 「あなたの幸せな感情を100億円で売ってくれませんか?」 もし売ってくれたら、その瞬間あなたは100億円を手にしますが、未来永劫楽しい、嬉しい、ワクワクといった幸せな感情を手放します。そして毎日毎日、怒り、失望、フラストレーション、悶々といった苦しい感情で生きることになります。100億円で何かを買っても、1ミリも幸せな感情は起こりません。

  • ほぼすべての方はその幸せな感情を売りません。人によっては露骨に苦い顔をされて左右に首を振ります。幸せな感情には明らかに100億円以上の価値があるのです。

  • なぜ人は成果目標の達成を目指すと、100億円を積まれても売らない幸せな感情をいとも簡単に手放して、「苦しんだ先にこそ成功がある」と信じて頑張るのでしょうか。このような言葉を口から発さずとも、無意識レベルで日本人の多くがそう思っている気がするのは私だけでしょうか。

  • 私の経験からお伝えできること、それは、「成果目標を達成したければ、とにかく良いステートでいることが大切」ということです。

  • 「ステート(State)」とは、日本語で言うところの「状態」です。状態とは、国語辞典を引くと「ある時点における人や物事のありさま」という意味で、人について言う時は主に感情や健康の状態のことを言います。本書では、健康状態もほぼすべて感情状態に影響すると考えて、「ステート = 感情状態」と定義します。いわば、「ご機嫌」と言い換えてもかまいません。

  • 「100億円で幸せな感情を売ってくれますか?」の質問を思い返してください。ステートが良いことにこそ人生の喜びがあるのです。

  • おそらく多くの方は、「自分のステートは、置かれる環境や周囲の人々や出来事によって左右されるもの」と思っているのではないでしょうか?「良いステート」でいると覚悟するということは、置かれた環境に左右されるのではなく、その環境や他人に対する意味付けをどう変えるか、という真逆の立場をとるということです。

  • 商品・サービスの質という観点でも、サービス提供側にステートの良い人やチームが求められる時代です。繰り返しますが、ステートが悪い人やチームからは良い商品・サービスは生まれにくい。

  • そろそろ、日本社会全体で「ステートが悪くても頑張っている人」を評価・賞賛する文化ではなく、「ステートが良い人」を称賛する文化を賞賛する文化を根づかせませんか?日本を「ステートに価値を置く社会」に変えていくのです。

  • 何かを「決める」という行為は、数多ある選択肢の中から一つを選ぶことで、あれこれ迷いがなくなることです。「決まっていること」そのものがステートを良くしてくれます。逆に決めない間は、ああでもないこうでもないと彷徨っているステートです。これが続くと、ボディーブローのようにストレスがかかり、徐々に苦しいステートになっていきます。

  • 過去と未来に執着せず、「今」この瞬間の自分のステートを上げるべく、目の前のことに集中することが何より大切です。

  • ステートを奮い立たせ続けるためには、環境や他者のせいにせず、「すべて自分次第」というスタンスでいることが重要です。

  • 職場での権限の有無や就業条件などは、確かに自分ではなかなか変えられないかもしれません。でも不満がある場合に、それらをなんとか変えるべく行動をとるのか、あるいは別の方法で不満を解消しようとするのか、はたまたその不満を受け入れるのか、すべては自分の選択次第です。つまり、今のこの状況はあなたが選択した結果なのです。

  • 良いステートでいると、健全に周囲に意識が向いて、良いエネルギーを周囲に与えます。そして、自分も良いエネルギーをもらえるという相互関係を生み出します。本来、良いステートというのは、独りよがりのステートではありません。良いステートは、周囲との健全な「つながり」を生み出します。苦しい時というのは自分に意識が向きすぎて、人とのつながりが分断されたステートにあります。たとえ人と会って話していても、意識がどこかにいって話を聞けていない時はありませんか?

感想など

今後、何回も読み返す本だと思います。とても読みやすく、かつロジカルに「ステートファーストでいる意味」を解説してくださり、本当に素晴らしい本だと思っています。

ぼくは良くも悪くも浮き沈みが激しいタイプで、「浮き」のときはガンガン進められ、いいパフォーマンスも出せるものの、「沈み」のときは最低限のことをやるのがやっとで、酷いときはなにも手につかない・・・ということもありました。「浮き」のときの貯金で今までは何とかなってきましたが、これからはそうもいきません。

また、「沈み」のときに感じる焦燥感、自己否定、周りへの迷惑等々も本当に何とかしたいと思っていたのですが、なかなかうまい手が見つかっていなかった…というのが正直なところです。「すべては解釈次第である」ということは頭で理解していても、腹落ちさせ切れていなかったのだな、と思います。

この本は、まず最初の質問が非常に良かったです。

「あなたの幸せな感情を100億円で売ってくれませんか?」

いくらお金があっても、二度と幸せな感情を味わえないとしたら、生きている意味の大半が失われます。にもかかわらず、ぼくたちはすぐイライラしたり、人のせいにしたり、不機嫌になったりする。「100億円払っても手放したくない感情を、すぐ放棄してしまう」というのは、冷静に考えてみると非常にばからしいことです。

この論理展開は、個人的には大いに納得のいくところでした。そのため、「常に上機嫌でいよう」「なぜならそれが自分にとっても大事だし、パフォーマンスも上がるし、周りの人も過ごしやすくなるし、いいことばかり」と腹落ちし、常に上機嫌で過ごせるようになりました。

読んでいる途中から、すぐに日々の自分の行動や考え方が変わる、素晴らしい本でした。ぜひみなさん読んでみてください!

ステートファースト

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