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6.実践に裏打ちされた企業の「自信」を培うため、組織のPDCA力を高める

こんにちは!伊藤です。

引き続き、戦略参謀の仕事をベースに、事業戦略の作り方や実践方法について考えていきます。

今までの記事はこちらのマガジンにまとまっているので、ぜひお読みください!

今回は、企業としての自信と地力をつけていくためのPDCAについての議論です。改めて読み返すと、非常に耳が痛い部分が多いです。トップは常に業績向上を考えなければならない立場ですが、裏返すと短期的な数字に目を取られがちとも言えます。その習性を克服し、各種プロジェクトの総括およびそこからの学びの蓄積をしないと、中長期的な成長は難しいなと改めて実感しました。

早速見ていきましょう!

「自信」を失った企業が行きつく先

 人も企業も、そして経営者も、大きく育っていくために必要なのは、実践を通したリアルな体験と、そこでの学習によって得られた「自信」です。
 「自信」を失った状態の企業は、様々な重要な意思決定の場で、大胆なプランの実施に二の足を踏んでしまい、さらに低迷状態から抜け出しにくくなっていきます。
 「自信」を失っている状態とは、自分たちの強みや弱みが一体何なのかを見失っている状態です。
 混迷期のワンマントップによく見られる行動として、どこで仕入れてきたのだろうかと思うような、思いつきレベルのアイデアを連打することがあります。
 「儲かるらしいぞ」とトップが言い出し、本業とは関連のないセルフスタイルのうどん屋を、郊外で唐突に始めたものの、1年でやめた上場企業もありました。

「ぐちゃぐちゃ考える前に動け」「戦略より実行」という言葉がありますが、これもケースバイケースで捉えるべきと思います。特に業績が停滞している際は、「あれもやってみよう」「これもやってみよう」となりますが、思いつきアクションを連発しても、それによってぐっと事業が成長することはありません。自社事業は誰にとってどのような価値を提供するものなのか、それはどのようなサイクルで成長していくのか、それを可視化したうえでのアクションを取らないと、お金と時間を無駄にすることになります。

人は意義がないと真の意味で価値を発揮することはできません。自分がやっているアクションが、成長サイクルのどこを担っているのか、そのためにどのレベルまでやり切らないといけないのか。これの腹落ちがないまま、「とにかくやってみます!」では、どんどん事業はしぼんでいきます。

ぼくもこれに関してはかなり反省するところがあります。立ち上げ時期は、「とにかくビジネスをしっかりと回せる状況をつくる」のが目的であるため、タスクの一覧化&優先順位付け&一気にやる、というのでビジネスは進んでいきます。しかし、それにめどがついたら、次は事業成長を目的としなければなりません。その際は明確に事業の成長サイクルを可視化し、各メンバーに伝え、腹落ちしてもらう必要があります。このタイミングが少し遅れてしまい、社内が混乱してしまった時期があったように思っています。

自信のためには学習、学習のためには理にかなった言語化が必要

 組織としての「学習」を行うためには、「理」にかなった形で「言語化」をした表現が必須です。
 作法に則って企画をまとめるがゆえに、失敗した時にどこに読み違いがあったかが明確になります。それが言語化されて初めて、組織の「学習」になります。
 どんな事業活動も、たとえその根拠が希薄であっても、ある程度の勝算を期待して乗り出します。当然のごとく、大なり小なりの読み違いは起き、それを修正しながら努力が続けられます。
 PDCAが廻っている限りは、読み違いや失敗があっても、それらは企業にとっての「学習」になり、経験則として蓄積されていきます。
 もし、そのプランがトップの思いつきによるものならば、なおさら起案部署を定めて企画書を事前にまとめておき、組織としてのPDCAが廻り、総括が可能な形にしなければなりません。
 「学習」がなされていれば、次のPDCAの際には「やるべきこと」「やってはいけないこと」がより明確になっているために、成功の確率は高まります。
 これがプロジェクトを成功させるためにPDCAを廻し、企業が「学習」を繰り返している状態です。
 組織としてのPDCAが廻れば廻るほど、成功則(そして失敗則)の言語化と「学習」が進みます。それにより成功の確率は高まり、いずれ成功の果実が得られ、それだけではなく、根拠の明確な、健全な「自信」が得られ、蓄積されていくのです。

しっかりと言語化されたプランがあること、それをベースにPDCAを廻しながら実践すること、成功則/失敗則を言語化するために総括が可能な形にすること。これをしっかりできれば中長期的な成功確率が上昇することは間違いないと思います。一方で、トップは短期的なKPIの達成や、「イケそうな次のアクション」にどうしても目を奪われてしまい、PDCAがおろそかになることも多々あるなと思います。自分自身もそうです。

定期的に各種プロジェクトのプランニングやその総括を主体的にやってくれる参謀的ポジションの人がいると、事業の足腰が強くなるんだろうなあと思います。特に振り返りや総括は短期的にキャッシュを生まないため、おろそかにされがちです。COOなりCSOなり、ここをしっかりと主導してくれる人がいると、トップとしては安心感があると思います。ぼく自身もここは足りておらず、意識的に総括の時間やアウトプットはしないといかんなと改めて感じました。

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