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私小説「”骨髄移植”経緯」~3~

3.放射線
「放射線が肺に当たる量を少なくするための準備です。」

放射線科は、周りへの影響を考慮してか地下にあります。普段使わないエレベーターで9階から降りていき、地下一階に到着。エレベーターを降りると、シンと静まり返ったフロア。教えられた通りの通路を通って診察室へ行き、担当医師から本番の説明。私の場合は移植当日午前と午後の2回照射を受けます。1回の所要時間は30~40分、痛くも熱くもなくただ体を固定されて寝ているのみ。副作用(吐き気、だるさ、脱毛、皮膚の斑点、粘膜炎症など)が起こるのは、照射を受けてから3日~1週間くらいたってから。その時期は抗がん剤の同様の副作用が出ている時期なので、どちらのものかは判別できないとのこと。

説明を受けたのち、通路の最も奥にある照射室へ。ベッドに横たわり、赤ちゃん用のドーナツ枕の四角い版のような枕に後頭部をすっぽりと入れて固定、体の両側を厚いアクリル板で挟まれます。当日はさらにアクリル板と体の間にビーズでできたクッションを押し込んで完全固定されます。胸板の厚さを計り照射角度を調整。あ、どうして肺にあたる放射線量を少なくするかというと、全身に同じ量の放射線を当てると肺炎にかかるリスクがあるからだそうです。
調整に要した時間はものの5分ほど。でも本番のことや副作用のことを想像して不安なままだったので、長く感じられました。だって、いわゆる“被曝するわけですから。