消える気持ち 川柳十句

砕く瓶おいでかつての登下校

才能と唇しろく繰り返す

香水の枝分かれする喫茶店

落日やあなたの猫の爪を切る

膝の皿もしくはメモを煮てひとり

消えるのがわかる気持ちが今わかる

浴槽に会いたいひとがいるはずだ

もういちど体の線をむすぶから

蚊帳に風まちわびている詩人の死

コンタクトレンズは夜にいなくなる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?