咲かす声 川柳十句

目の前の雨はおそらく古い雨

あなたなら化繊の塔を尖りゆく

皿という皿は割られて明るさへ

かえしてと喉つまらせて百日紅

へたり込む影を見捨てて本屋へと

ただ、ただ、ゆるしてほしい、金平糖、

おまえさえ産まれなければ渡り鳥

咲かす声いちどたりとも死ねばいい

いたまないからだふたたびせりあがる

窓のない冬を思えば冬おわる

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