あなたたちの仕草 川柳三十句

もれている彼のあくびは狼煙かと

通話でもひしひしと頭を下げる

倒れてく自転車ふたりして見てる

あ、と言ってあ、と口にする卵黄

日に焼けて少年らこれからが罪

とざす傘 色がよく滴ってしまう

バスに間に合わない背広叩いてやる

周到な返事に骨がふるえてる

泉にわざと落とした鞄

問題を解くペン先がよく霞

シースルーエレベーターに手を合わす

コンビニはあかるい趣旨で満ちている

スマートに赤信号を渡りきれない

かみさまの和式便所で声ころす

棘の棘 神奈川県に住んでいる

本音ひとつガムシロップをこぼす

どうして自信がない美術館

ハンドルを握ると歌いだす秋気

鳥の声こうでもしなきゃ怨まれる

デジタル時計に目をやるふたり

帝国となり僕たちは洗いだす

ミュート 先生はトイレではありません

消毒駅のさわやかな夕

かたむいて頭痛ごろんともてあそぶ

電子版かまぼこにして頂戴な

だいたいダサい戦

おにぎりの包装捨ててある月下

事前には承諾しない冷奴

歯を磨く あしたのきらびやかな地獄

デエビゴ二錠すぉんとねむる

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