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大失敗!機能しなかった計画的プレッシング

【はじめに】

 「ボールを奪う」
 この当時、それだけを計画的プレッシングの目的としていた。
 
 ボールを奪うこれだけを目標にしてプレッシングをプランニングしたことによって、いくらボール奪えてもすぐ相手ボールにまたすぐなってしまう。

 確かにボールを奪うことも目的の一部だが、目的を「ボールを奪い素早くカウンターへ移行する」に設定しなかった為、守備と攻撃がバラバラになってしまった。
 ボールを奪うことに意識を取られ、その先が何もないプレッシングになってしまった。

 相手のゴールにどのように迫るか?そこが完全に欠け落ちていた。
 
 どちらかといえば「ゴールを守る」方に近かった。

 今回は、以前率いていたチームでの実体験を踏まえて計画的プレッシングのプランニングについて記述したい。

【どんな計画的プレッシングだったのか?】

 まずそのプレッシングがどのようなものだったのか?

 私は相手陣地で相手が相手ゴール前からビルドアップを開始した時、リバプール式のプレッシングをしていた。
 ※これは下記に記載

https://note.com/tasfussballog/n/nc326d46c369e

 もし、そのプレッシングでボールを奪えなかった場合、相手の攻撃を遅らせて、ゾーン2 まで撤退し計画的プレッシングに移行した。

 私の考えの根本にあるのが、ゲーム中は常に相手陣地で過ごしたいという考えがある。
 もし90分相手陣地で過ごすことができるならポゼッションは低くても構わない(実際はそんなことはないだろうが)
 ボールを保持しているのは自チーム、相手チームどちらでもいい。

 できるだけ相手コートにいたい。

 簡単に自陣に運ばれたくない。

 基本的にCBにボールを運ばせたくない。

 なので基本のフォーメーションが4−1−4−1だったのだが、(下図)

 そこから選手を少し動かし4−4−2に移行した。(下図)

相手右CBに対して自チームのFWがプレッシャーをかけ、インサイドハーフの選手が一つポジションを上げて1トップと同じ高さまで上がる。空いたインサイドハーフのポジションにアンカーがポジションを上げる。(下図)

 このように4−1−4−1から4−4−2へ移行した。

 そして、今回のプレッシングの犠牲者は相手サイドハーフの選手に設定。

計画的プレッシングは以下の通りである。
 
 ①ボールホルダーの相手CBにプレッシャーをかける自チームFWは、できるだけ相手アンカーにパスコースを切りながらプレッシャーをかける。
 ※もう一人のFWが相手のもう一人のCBの方へ行くそぶりを見せる

 ②相手サイドバックにパスを出させるように誘導する。
 ※この時キーパスを通されないようにサイドの選手はコンパクトを保つ

 ③パスがサイドバックへ出された瞬間、内側を切りながら、自チームサイドハーフがプレッシャーをかける。縦パスを出させるように誘導する。

 ④この縦パスをスイッチとしてリズムを変える

 ⑤縦パスがプレッシングの犠牲者に入ったら、自チームサイドバックとサイドハーフ二人で挟んでボールを奪う

 
 このように、最後はボールホルダーに対して2人の選手で挟んでゴールを奪うというのが目的であった。

その時はそれで確実にボールを回収できると考えていた。

確かにボール回収できた。ボールを奪う頻度は高くなった。
しかし、ビデオで確認するまでもなく、ボールを奪ってすぐこのゾーンで失うシーンも多くなった。

でも、それはただサイドラインの近くで2人の選手で奪いに行っていたからであった。
この後、どのように攻撃をするかまで考えられてプランニングされていたプレッシングであった為、簡単にまたボールを奪われた。

【なぜまたすぐにボールロストしたのか?】

原因は以下の3つがある。
①カウンターから逆算されていなかった
②人からボールを奪っていた
③ボールを奪った選手の体の向きが後ろ向きだった

①カウンターから逆算されていなかった

 この時のプレッシングの犠牲者は相手サイドハーフの選手であった。
 もし、ボールを奪ったとしても相手の7人の選手を超えなければならない(この時相手は4−3−3が多かった)
 前にボールを運びたくてもまだ相手は多くの選手を残しているのでカウンターに繋げるのが難しい

 もし自チームサイドバックが、インターセプトしても相手の選手は多く残っている。

 どのようにカウンターをするかから逆算されていない為、プレッシングの犠牲者の位置が低くなってしまう。

②人からボールを奪っていた

 ボールを奪う時、人からボールを奪うと時間がかかる。
 
 2人で相手選手を挟んでも、相手選手も必死に奪われないようにするので、奪ったとしても時間をかけずすぐにボールを奪うことは難しい。時間をかけると相手も守備の準備を始めてしまう。

 そうするとボールを奪ってもカウンターするのは難しくなるし、相手がカウンタープレッシングしてくる可能性も高くなる。

 このように人からボールを奪うと時間がかかる。
 

③ボールを奪った選手の体の向きが後ろ向きだった

 縦で相手選手を挟んだ場合、自陣ゴールに近い自チーム選手がボールを奪うことは難しい。なぜなら自チーム選手とボールの間に相手選手がいるからだ。すると、プレスバックにきた選手がボールを奪う可能性が高くなる。

 プレスバックにきた選手は自チームゴールに向かって走ってくるので、ボールを奪っても、相手ゴールに背を向けたままボールを持つことになる。

 そうすると、最初の技術的アクションが、ターンかバックパスなどになり、前にボールを運ぶための準備になる。

 その準備をしている間に相手にカウンタープレスをされたり、相手が守備を整えたりしてしまう。

2人で奪っても、ボールを奪った選手の体の向きが後ろ向きになってしまう。

●まとめ
 このようにボールを奪った後、どのように前にボールを運ぶか、カウンターを実行するか考えられていない為、相手がまだ多く残っている。
 そして、人からボールを奪うのに時間をかけ、奪っても相手ゴールに背を向けて後ろ向きでボールを持つことになる。
 
 これにより、相手に守備を整えやすい状況を作ってしまい、カウンタープレスをされて、またボールを失うという結果になってしまった。


【どのようにプレッシングを計画するべきか?】

①カウンターから逆算する②空間でボールを奪う③ボールを奪った選手が前を向けるようにする  改善するには上記の3つを考えながら計画すると失敗しにくい。

①カウンターから逆算する

 まずは、ボールを奪った後、最初のパスをどこにボールを運ぶかを考えなければならない。それを考えるとどこのゾーンでボールを奪うべきか、誰からボールを奪うべきかが考えやすい。

 そして、そこから考えておくとボールを奪った後、何をするか決まっている為、選手は迷わずプレーができる。

 例えば、相手のSBとCBの間に自チームFWを走らせるパスを奪った後の最初のパスに設定する。するとどのゾーンでボールを奪うか決まる為、誰をプレシングの犠牲者に設定するべきかが決まってくる。

②空間でボールを奪う

先述したように人からボールを奪うと時間がかなりかかってしまう。
その間に相手は守備の準備を始めてしまう。

空間で、スペースでボールを奪えれば、時間をかけることなくボール奪うことができる。

そのためにプレッシングの犠牲者へのパスを狙えるようなプレッシングの構造を考えた方がいい。

横パスを奪えたら1番良い。横パスを奪うことができれば、時間をかけることなく奪えるし、一気に相手のラインを越えることができる。

注意すべきは斜めのパスを出させないことだ。斜めのパスは、自チームのラインを越えられてしまうし、ボールを受けた選手もゴールの方を向いたままプレーしやすい。
パスを出させる設計にしても斜めのパスは出させないように注意すべきである。

人からではなく、パスを(特に横パス)を出させて奪う方が時間をかけず、奪ってから前を向いてプレーしやすい。

③ボールを奪った選手が前を向けるようにする

 プレスバックの選手がボールを奪うとほとんどの場合、後ろ向きでボールを持つことになる。後ろ向きの状態でボールを持つと最初のプレーがターンやバックパスなどになってしまう。なので、前向きのプレーをするまで時間がかかってしまう。すると相手の守備にかかってしまう。

 次のカウンターの局面を考えた時に、プレスバックはあまり用いらない方がいいと思う。これは状況や人それぞれの考え方によるが、プレスバックをすると全線の選手の数も減るし、奪っても後ろ向きでボールを持つ可能性が高くなる。

 ●先述した通り、空間でボール奪う。
  プラス、その奪う選手が前向きでボールを持つように計画していくべきである。

 前向きでボールを持っていれば、後ろ向きでボールを持つより、はるかに相手がカウンタープレスを仕掛けてくる可能性が低くなる。

 ●この①〜③の踏まえて、例を出すと、

 自チームのMFの選手から相手のSBとCBの間に自チームFWを走らせてカウンターをすることを目指す。

 相手MFをプレッシングの犠牲者に設定する。

 相手CBがボールを持っている時は、自チームFWはプレッシングの犠牲者にパスを出させないようにする(相手から横パスを引き出させるため)相手SBへパスを出すように誘導する。
 
 相手SBに対して、中を切るのだけではなくて、縦を切って中にパスを出させるようにする。

 プレッシングの犠牲者に対しては2人の選手で監視する。しかし、監視の距離がプレッシングの犠牲者への近すぎるとパスを選ばない可能性がある。

 相手SBからプレッシングの犠牲者にパスが出た途端、リズムを変える。
 自チームFWは相手SBとCBの間へ走る準備をする。
 横パスをを奪いできるだけ早く背後へ出す。

 

【終わりに】

 今回は計画的プレッシングの方法について記述した。
 イレギュラーが起きた場合の対処方法などは今回は載せていない。
 
 プレッシングの目的がただ「ボールを奪う」では、またすぐボールロストをしてしまうかもしれない。

 「どのようにカウンターするか?」そこから逆算すると

 計画的プレッシングをした後も、ボールロストすることなく攻撃に繋げられることが増える可能性が高くなる。

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