「ズッコケ中年三人組age42」の感想

三人組も42歳になってしまった。
今回のテーマは子育てだ。ハチベエの長男、高二の一平と、モーちゃんの長女、佳奈にスポットが当たる。ついに子世代に話が及んできた。この時間の広がりが原作ファンには嬉しい。
佳奈のいじめと、一平の進路が主なストーリーの柱だ。特に、佳奈がいじめにあうその過程をかなり詳細に描いている。なぜいじめは起きるのか、起きたらどうしたらいいのか。登場人物の一人、美術部顧問の馬場先生が、子どもたちに「いじめられている私」をテーマに絵を描かせることで問題を探ろうとする。面白いのは、翌週は「いじめている私」をテーマに描かせ、2つセットでやることに意味がある、というところだ。二週目のテーマでは、筆の進まない子が多く現れたが、馬場先生は「心のキャンパスにはなにかしら描いたはず、と言う。
頼りになる馬場先生と対称的に、全く頼りにならない担任の先生を登場させているところは作者らしい。人気アニメの主題歌(多分ONE PIECE)をクラスのテーマソングだと言って毎回歌い、そのくせいじめへの対処は読み手がイライラするほど下手。でも、こういう先生いるよなーと思う。
小学生時代の思い出がエピソードとして出てくるところは、やはり50巻読破しといて良かった!とニヤニヤしてしまう。ゴンクロウだぬきや、忍者軍団で戦ったこと、彼らにとっても読者にとっても大切な思い出だ。ハチベエが美少女三人組の一人、圭子と結婚していることも効いてくる。彼女もまた、共に冒険をした一人だったりする。さくっと触れられる、「かつて父親が新車を買ったときに慣らし運転で通った道」は、ズッコケ怪奇館のエピソードですよね!さらっと書いてあったけど気づきましたよ!(めんどくさいファンのやつ)相変わらずファンの心理をくすぐらせるのがうまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?