どこよりも早い第103回全国高校野球選手権千葉大会展望(前編)
皆さんこんにちは。しゅうです。先日、第103回全国高校野球選手権千葉大会の組み合わせ抽選会が行われ、組み合わせが決まりました。
昨年の独自大会とは違い、有観客の試合は5回戦以降のZOZOマリン主催試合のみとなりましたが、それ以外は例年と同じ流れでの開催となります。
皆さまが毎年楽しみにされているであろう、千葉県大会の展望号は6月22日となりますが、今回はその発売より早く、私なりの視点で各4ブロックの戦力分析と展望をしていこうと思うので、最後まで目を通していただけると幸いです。
前編は左上(県船橋、市船橋)ブロックと、左下(専大松戸、学館浦安)ブロックを書いていきます。
県船橋・市船橋ブロック
Aシード:県船橋
Bシード:市船橋
Cシード:八千代松陰、幕張総合
このブロックのAシード校は57年ぶりに春ベスト4に進出した、県船橋。
春の戦績を振り返ると、初戦千葉黎明に4-3でサヨナラ勝ち。その後、東海大市原望洋に10-5、市船橋との船橋ダービーとなった準々決勝でも、延長10回8-7とサヨナラで勝利し、昨秋の地区予選で習志野を相手に延長で退けたその実力と勢いは本物であることを証明しました。
今年のチームの中心は、昨夏の独自大会から一桁の背番号をつけて活躍したエース・荒井皐と春は1番と3番に座った本橋隼人。
荒井は春全4試合に登板。25回2/3で与四死球は9、WHIPが1.13。対戦相手が上記の3チームと専大松戸というところを考えると、安定してゲームメイクできるという数字と印象が残りました。
主軸の本橋は、昨夏の独自大会では2年生ながらチームトップの打率.625とOPS1.667(8打数5安打3四球)と驚異的な数字を記録。
今春も打率.438、OPS1.033という数字を残し、秋の不調からは完全に脱却したと言ってもいいでしょう。
チーム全体で見ても、打率.306、OPS.811。準決勝で深沢、岡本を擁した専大松戸に完封負けを喫したことを考えると、県上位レベルまでのピッチャーからならある程度の得点は期待できるが、ベスト4の壁を破るには、県最上位レベルのピッチャーを崩す攻撃力と打開力が必要になると感じています。
(ただ、専大松戸戦は延長で制した船橋ダービーから中1日だったこともあり、本来の実力が発揮できなかった可能性もあると見てます。)
チーム失策数は、4試合で9と平均的な数字。ただ、準々決勝の市船橋戦では5つあり、そのうち3つが失点に絡むエラーになっています。
夏に向けては、
・接戦になった時に先に崩れない守備
・ミスが出ても、同じイニングにそのミスを続け無い守備
と、この二つを限られた時間の中で詰めていってほしいと考えています。
投手陣は春は荒井と中園の二枚、秋はその二人に矢花を加えた三枚で形成。夏の連戦は今のところ無い試合予定となっていますが、枚数が多いに越したことはないので、荒井・中園とは異なるタイプの投手を後1,2人用意できれば、最高7試合問題なく戦い抜けるはずです。
Bシードは市船橋。翔凛、安房拓心、八千代松陰を下してのベスト8進出となりました。(実は春のベスト8というのは2013年までさかのぼります。)
チームの打撃成績は、打率が.316、盗塁数が4試合で16個とかなり足を絡めて点を取りにいくということが分かります。
その中でも、全4試合で1番に座った石原嵩大は打率.571、安打数8、四死球5、盗塁7、出塁率.684といずれもチームトップの数字。さらに、毎試合得点を記録するなど、1番打者としては120点の活躍でした。
夏も恐怖の核弾頭として、注目選手の一人です。
投手陣を見てみると、昨夏の独自大会を経験し、秋春ともに1番を背負った中村倭士の登板が無かったのが少し引っかかるところではありますが、秋春で合わせて7人の投手がマウンドを踏んでいるというのは、さすが市船橋といったところでしょうか。
例年、夏は確実にゲームメイクできる投手を5枚前後揃えてくるのが市船橋の大きな特徴に一つでもあるので、この夏もどのような投手起用をしてくるのか、また春から前・櫻内監督からバトンを受け継いだ海上監督がどのような戦い方を見せてくれるのか注目です。
Cシード1校目は八千代松陰。昨夏の独自大会、中央学院戦でのタイブレーク、千葉黎明戦での逆転サヨナラ満塁ホームラン、準決勝で木更津総合を後アウト一つまで追い詰めた戦いぶりは、未だに印象に残っている方が多いと思います。19年にはAシードの専大松戸を破って準優勝するなど、夏の集中力と勢いというのは千葉県屈指のものを持っていると感じます。
秋には県船橋、春には市船橋とも対戦しており、仮に順調に勝ち上がると、準々決勝までに両校と再戦する可能性があります。今夏もどのような「ミラクル」を起こしてくれるのか必見です。
Cシードもう一校が幕張総合。注目は何と言っても春前で高校通算27本塁打を記録しているスラッガー、村山亮介でしょう。
秋は本塁打1本を放ち、警戒される中、四球も選びOPS.1.985と活躍。
しかし、春は初戦で3打席3四球だったことや、3回戦でプロ注目右腕、中央学院・細谷怜央の前にチャンスで2打席2三振を喫するなど、2試合で無安打と悔しい結果となりました。
飛ばす力や警戒されている中での冷静さというのは、確かなものを持っていると思うので、チーム過去最高の5回戦進出に向けて、細谷のような一線級のピッチャーとの対戦となった時に、どのようなアプローチを見せるのか楽しみです。
ノーシード校では、一年夏から二遊間を任され、一年秋の関東大会・花咲徳栄戦ではチーム唯一の打点となるタイムリーを放った柏木勇人率いる拓大紅陵や、春にはその拓大紅陵を下した銚子商。
秋には1年生を中心にベスト4進出と躍進した千葉英和や
その千葉英和と1回戦で対戦する8地区屈指の練習量を誇る袖ヶ浦。
さらには、4地区の実力校・市柏や、2年生の190cmアンダースロー右腕・松平快聖を擁する市原中央など、
実力校が揃っています。船橋の2校を中心に回ることが予想されますが、どの高校が4強に進むのか、目が離せない戦いになりそうです。
専大松戸・東京学館浦安ブロック
Aシード:専大松戸
Bシード:東京学館浦安
Cシード:流通経大柏、東海大市原望洋
左下ブロックAシードは専大松戸。おそらく今大会の大本命と予想されている方も多いでしょう。秋は県3位から、関東大会でベスト4に入りセンバツ出場。愛知・中京大中京との投手戦を繰り広げました。
春は県大会で準優勝。関東大会では深沢鳳介、岡本陸の両右腕を中心に初優勝。例年、「春の専松」と言われているものの、今年は例年以上の戦績を残しました。
守りの中心は上記の深沢、岡本の両右腕。
エースの深沢は秋の関東大会で2試合連続で無四球完封。秋まではスライダーやカーブを混ぜながら緩急をつけ、ゾーンを広く使いながら打たせてアウトを取るタイプのピッチャーに思えましたが、センバツの中京大中京戦では最速143キロのストレートで押していく場面も多く、終盤7回までは中京打線を全く寄せ付けない投球を見せてくれました。
春も県大会では1試合2イニングの登板に収まりましたが、関東大会では初戦の駿台甲府戦で12奪三振をあげ完封。浦和学院戦では4イニングで好リリーフを見せました。いまや全国屈指のサイド右腕でしょう。
その深沢を抑え、春に主戦級の働きを見せたのが岡本。センバツでの登板機会はなかったものの、県、関東では共にチーム内最多投球回数を記録。
最速144キロのストレートを軸に空振りの取れるフォークや、左相手にはバックドアのスライダーを投げるなど、本来のコントロールやコマンド力の良さに力強さが加わり、三振の取れる技巧派のピッチャーという印象を受けました。
その他では、春関東大会決勝の関東一戦で9回途中までマウンドを守った中舘宙や県3回戦で無失点リレーを見せた鈴木良麻や谷口航輝と、バラエティと強さに長けた投手陣となっています。
守備も春県大会では5試合でエラー0を記録するなど、センバツでの悔しさを晴らしました。
夏は記録に残るエラーはもちろんですが、記録に残らないエラーなどを減らしていければ、春同様に守りの堅い野球を展開できると思います。
打線は春県大会で主にスタメンにを張った9人全員が2打点以上を記録するなど、どこからでも点を取れる強力打線。県で全5試合で上位打線を形成した大森駿太朗と石井詠己の打率5割超コンビや、1年春からベンチ入りし、今やプロ注目の巧打者にまで成長した吉岡道泰はもちろんですが、クローズアップするのは、春全9試合で合わせて4本のホームランを放った苅部力翔、加藤大悟の恐怖の下位打線コンビ。
この二人は全9試合で下位打線に座ったのですが、苅部は県準々決勝の習志野戦でサヨナラコールドを決めるホームランを含む3安打の活躍。二塁打が出ていればサイクルヒット達成という暴れようでした。
加藤はセンバツでプロ注目の右腕、中京の畔柳亨丞を相手に三塁打を含む2安打、春関東ではチーム唯一の2本塁打を放ち、チームトップのOPS1.262をたたき出し、2年生ながら一気に千葉県屈指の捕手となりました。来年のドラフト候補に上がってくる可能性も十分あります。
夏もこの二人が下位打線に座っているとなると、相手投手は怖いはず。
2015年以来二度目の出場に向けて、どのような戦いを見せていくのか要注目です。
Bシードは東京学館浦安。3回戦では秋の優勝校、木更津総合を倒してのベスト8進出となりました。
野手の注目選手は、セカンドを守る2年生、澤登悠幹。守備では初めて見る方にとっては、いたって普通のセカンドではないか、と見えてしまうかもしれませんが、一球ごとに周りとJK(準備、確認など)を行ったり、カウント毎に絶妙にポジショニングを変えながら守る選手で、準々決勝の成田戦では動いたポジションによく打球がいってました。ピッチャーにとっては心強いセカンドでしょう。
打撃では全3試合で2番に座り、足の速さもありながらストライクを入れに来たストレートを叩くこともできる、「いやらしい」2番打者という印象です。成田戦では、プロ基準の広さになった千葉県野球場であわやホームランかという飛距離が出た外野フライ2本と(うち1本犠牲フライ)、2安打を放ち、成田投手陣にとって一番打ち取るのに苦労した打者だったのではないかと思います。この澤登も夏の注目選手の一人です。
投手陣は初戦の千葉経大附戦と木更津総合戦で共に7回を投げた主戦の山本蘭司や、成田戦で好リリーフを見せたアンダースロー右腕の田村光など、例年のようにバラエティに富んだ投手陣となっています。
毎年多くの好投手を揃えてくる学館浦安、2018年以来の決勝進出と甲子園進出を目指します。
Cシード1校目は流通経大柏。秋は新型コロナウイルスの関係で出場辞退という形になってしまいましたが、春は2試合に勝ち、2018年以来のシード獲得となりました。
毎年、140キロ以上を投げるピッチャーを用意し、背番号一桁二桁関係なく試合で活躍するのが流経の特徴。初戦でぶつかる可能性のある千葉明徳との試合は、2回戦屈指の好カードになると思われます。
Cシードもう一校が東海大市原望洋。春の2回戦では、秋の準優勝校である東京学館を4-1で下しています。
投打の軸は昨夏の独自大会を経験しているエースの木村旭と秋春全試合でクリーンアップに座った180センチ89キロ(秋時点)の左打者・梅木颯太でしょう。
細かい攻守ともにミスを減らしつつ、持ち味の打ち勝つ野球で勝ち上がりを目指します。
ノーシードでは、秋の準優勝校である東京学館。
プロ注目の大型ショート・粟飯原龍之介やピッチャーながら秋の成田戦ではホームランを放っているエースの根本匠など、どこからでも長打で点を取れる強力打線が特徴です。春は根本が大会前の負傷で、登録を外れるというアクシデントがありましたが、代わりに望洋戦で先発した2年生の田中千歳の好投は夏に向けての好材料でしょう。
その東京学館と初戦で当たるのは8地区の実力校、志学館。このカードはすでに対戦が決まっている中で2回戦一番の好カードだと思われます。
他では、上記の千葉明徳は毎年140キロ前後の速いストレートを投げる投手を複数枚揃える1地区屈指の強豪校、千葉経大附や木更津、成東、市銚子、西武台千葉が4回戦までに専大松戸と対戦する可能性があるという
「死のブロック」とも言えるでしょう。
おそらく専大松戸を中心に展開されると思われますが、専大松戸が順調に勝ち上がるのか、はたまたそれを阻む高校が出てくるのか、目が離せません。
少し長くなりましたが、今回はここまで。
後編では右上(成田・習志野)ブロックと右下(千葉学芸・中央学院)ブロックを書く予定です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(各データ引用元:https://baseball.omyutech.com/)
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