映画 「おーい!どんちゃん」 公開によせて
「おーい!どんちゃん」という映画は、沖田が個人で制作した映画です。
ここに、どんな映画かわかるように書いておきます。
いわばパンフレットのようなものです。
■イントロダクション 「おーい!どんちゃん」のなりたち
「おーい!どんちゃん」は、極めて個人的な映画です。なぜなら、自分の娘が出演しているからです。ちょうどワークショップで出会った俳優たちと一緒に、何か短いドラマのようなものを作ろうと、遊ぶように始まりました。撮影も自分たちで、カメラやマイクを持ち、片手に収まるくらいのハンディーカムで撮影しました。なので、当初はここまで長編の映画になることは想像もしていませんでした。定期的に行われた撮影は、やがて、季節をまたぎ、年を越し、参加した俳優たちの時間を、生々しく切り取ることになりました。生後半年の娘はやがて、セリフを喋るまでになりました。俳優たちもまた、リアルに年をとっていきました。2014年から始まった撮影は、2017年まで続きました。それから、ゆっくりと仕上げていき、昨年、ようやく完成に至りました。この映画を、たくさんの人に観てもらいたい気持ちもありますが、こうして、特別な機会にだけ上映することに決めました。できれば、この試みに興味のある方が、この映画の流れる時間に、一緒に付き合ってくれたら、とても嬉しく思います。
■ストーリー
売れない俳優、道夫、郡司、えのけん。三人が共同で暮らす一軒家に、ある日、家の前に置いていかれた女の赤ちゃん。彼らは、その子を「どんちゃん」と名付け、友達カップルの坂本とあかりを巻き込み、戸惑いながらも、みんなで子育てすることに。やがて、季節は巡り、年は過ぎ、どんちゃんとの日々は、彼らを少しだけ変えていく。
■キャストとコメント
坂口辰平
コメント やっと皆さまに「おーい!どんちゃん」を観ていただけること、とても嬉しい思いです。素直に書きますと、2014年7月1日にクランクインして、完成とお披露目までにこれほどの時間を要するとは想像もしていませんでした。クランクインのときには、独身だった僕も、いまでは結婚して、どんちゃんと同じくらいの娘がいます。ただ本当に待っていて良かったなと思える作品が完成しました。この作品には、どんちゃんの成長だけではなく、僕たち俳優が生きてきた時間、撮影の楽しかった思い出や、沖田さんの娘さんに対する思いなど、沢山のものが詰まっています。ぜひ楽しんでいただけたら幸いです。個人的には自分の娘で「おーい!どんちゃん2」を商業ベースで撮ってほしいです。
大塚ヒロタ
コメント この映画は『沖田さんと私が地元のUNIQLOの下着売り場でバッタリ会う』という奇跡が生んだ作品だ。
沖田さんの「子供が生まれたので、少しいいビデオカメラを買ったんです。それで遊びませんか?」という言葉にもちろん飛びついた私の元に、すぐに「愛」を具現化したような台本が届いた。はじめは沖田さんが一人でカメラを回しながら百円均一で買ったホウキに結び付けたマイクをもって録音するという撮影スタイルだった。しかし、次第にその「愛」に引き寄せられ、人々が集まり、最後には立派な撮影現場になっていった。
その間、どんちゃんはすっかり赤ちゃんから女の子に成長し、彼女の周りは少しだけ大人になった。そうして長い年月をかけ、沢山の奇跡をたずさえて「おーい!どんちゃん」は完成した。
長い年月と書いたが、あの楽しかった日々を思い出したり、出来上がった作品を観ると夢のようなあっという間の時間だったとも思える。
大好きな作品に自分が出演しているというのは不思議な感覚だ。この作品は私の人生の宝物だ。
あの時UNIQLOでパンツを選んでいた自分に最大限の拍手を送りたい。
遠藤隆太
コメント この映画を簡単に説明しますと、一人の女の子がみんなに愛される話です。いつか彼女が大人になって落ち込んだ時、偶然この映画を見たら自己肯定感が爆上がりするだろうなと羨ましく思います。
そしてこの映画を見てくださった方も、自分が無償で愛されていた時を思い出して少し元気になってもらえたら嬉しいです。
師岡広明
コメント まずはこれを読んでくださっている貴方様に心より感謝申し上げます。
この作品に携わってからの僕は、どの撮影現場に行っても常に心の隅にこの作品がありました。
この作品が見守ってくれているから、どこまでも遠くに安心して行けるような、そんな感覚でした。子供の成長を記録したこの映画が、僕にとってはまるで親のような存在となっていたのです。
もしも次の人生、生まれ変わって映画になったなら、僕はこの映画の子供として生まれて来たい、そう思っております。
宮部純子
コメント オキータ(沖田監督)から『おーい!どんちゃん』の電話があった時は、実家に帰ってる途中で、電車から降りてとぼとぼ歩いている時でした。
電話口でオキータが話してくれた内容に、ワクワクして、いつも見慣れてる景色がふわっとしたような、とても嬉しかったことを覚えています。
沖田家とは普段から仲良くしてもらってて、その延長で撮影に参加してる感覚だったので、映画になって、こんな風にお披露目できるのが不思議です。でもこの撮影があったからみんなと知り合えたし心の支えにもなり、何よりどんちゃんと今でもかき氷を作ったりお絵かきしたり、お喋りができる仲になれたことが嬉しいです。これからもよろしく〜。ありがとうございます〜。
他キャスト&コメント
宇野祥平
沖田修一監督とは『リバーサイド入口』(08)で出会い、最新作『さかなのこ』にも出演させていただきました。出会った頃と変わらない映画への真摯な姿勢にいつも感銘を受けています。『おーい!どんちゃん」が上映される事、とても嬉しく思います。傑作です!
是非劇場で観ていただきたい映画です。
黒田大輔
沖田くんとはずいぶんと前に出会いました。20年くらい前じゃないかと思います。
以前とは映画創りの環境も変わってきているんだと思いますが、相変わらず映画に遊ばれたりしながら、映画で遊んでいるなぁと感じます。
お~い!どんちゃん が、色々な人たちと一緒に映画館で観られるなんてとても嬉しいです。ほんとうに、嬉しいです。
山中崇
7年くらい前のあの頃が、きらきらと記録されていました。
どんちゃんの成長はあまりにも早くて、時間は戻ることはないのだと改めて気づかされました。
だから、今をたいせつにしようと思いました。
7年くらい後のあしたには、きっといまがきらきらと輝いてるはずだから。
奥田洋平 菅原佳子 菊池明明 沖田修一 西田麻耶 武田祐一 角野哲郎 岡村いずみ 前田ともみつ Vasu seshadri 依田哲哉 小澤雄志 新名基浩 守屋文雄 鈴木夢奈 兵藤公美 他たくさんの方。
■スタッフなど
撮影 道川昭如 と 手のあいた人
●道川昭如
茨城県出身。日本映画学校を卒業後、撮影技術会社(株)V-OUTに入社。撮影助手を経て退社後、フリーランスでカメラマンとなる。
主な撮影作:『豆大福ものがたり』(13、監督 沖田修一)『太陽からプランチャ』(14、監督 窪田将治)『貌斬り KAOKIRI 〜戯曲「スタニスラフスキー探偵団」(16、監督 細野辰興)『階段の先には踊り場がある』(22、監督 木村聡志)など
録音 落合 諒磨 と 手のあいた人
●落合諒磨
茨城県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。現在はフリーランスとして、CMやweb広告・映画などの撮影時の現場録音、整音~MAで活動中。
Short film『Hammock』
Short film『A mother in tears takes a child on her lap
音楽 澤口希(Chang-Nong from omu-tone)
2003年より打楽器ユニット『omu-tone/オムトン 』にてマリンバとピアノを担当。
www.omu-tone.com
沖田修一監督作品「このすばらしきせかい」「俺の切腹」劇伴、オムトンでは「キツツキと雨」の劇伴を制作。
イラストレーターの古谷充子との刺繍ユニット「fotsusev」にて刺繍を担当 https://fotsusev.official.ec
監督・脚本 沖田修一
77年生まれ。埼玉県出身。『このすばらしきせかい』(06)でデビュー。『南極料理人』(09)が公開され、映画賞など受賞、話題を呼ぶ。『キツツキと雨』(12)はドバイ国際映画祭で三冠受賞。『横道世之介』(13)では、第56回ブルーリボン賞最優秀作品賞など受賞。16年、『モヒカン故郷に帰る』、17年「滝を見にいく」、18年、『モリのいる場所』では、第10回TAMA映画賞特別賞、第40回ヨコハマ映画賞脚本賞など受賞。20年、『おらおらでひとりいぐも』、21年、『子供はわかってあげない』、22年に『さかなのこ』が公開予定。
2022・日本・157分 ©️沖田修一
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