マガジンのカバー画像

映画「子供はわかってあげない」プロダクションノート

22
カントク沖田の妄想プロダクションノート 全部嘘です。嘘じゃないかもよ。
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

#12 閻魔

閻魔が、まさか「横道世之介」を観ていたとは思わなかった。 映画が好きらしく、「テネット」も、2回観たという。IMAXレーザーがおすすめらしい。閻魔は、そういうと、私に天国か地獄か、どちらかを選んでいいと言った。普通は、閻魔の独断と偏見で決めるらしいのだが、たまたま「横道世之介」を観ていたらしく、好きに選んでいいと、情をかけてもらう形となった。いい閻魔だった。去り際に、「滝を見にいく」もいいよね。と閻魔は言った。武蔵野館でおばさんに囲まれて観たという。閻魔め。よほどのマニアらし

#13 新しい朝 〜沖田と芸能界〜

ある朝、N氏は思った。そうだ。沖田修一なんて、顔知ってる人、ほとんどいない。 そうだ。映画監督なんて、名前ばかりで、顔なんて、みんな知らないんだから、誰か沖田さんになっちゃえばいいんだ。まさに、青天の霹靂といったところか。N氏はそれから、ベッドから起き上がると、起き抜けに洗面所で自分の顔を見た。 「はじめまして、沖田です」 と、声に出してみた。 いける。いける気がする。 今日から俺は、沖田修一だ。N氏は心を決めた。映画はまだ終わりじゃない。俺は誰だ。そうだ。俺はあきらめの悪