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アイディアの創作とその破壊の苦痛の話(2022年3月18日「飛ぶ教室」感想その2)

高橋源一郎氏のラジオ、「飛ぶ教室」の感想文です。
同じラジオの回の感想ですが、こちらは「創り手」の視点の話になります。
ラジオの概要はこちら。

小説を書くことにおいて、「突き詰める」って大事だなと思った。

小説は、「突き詰めた人生」を書き手も読み手も追体験できる貴重なメディア。 やっぱり小説って、楽しいね。 私も一次創作、本当は書きたいんだけど、二次創作と違ってなかなか難しい。自分は「世界観の夢想」はよく浮かぶんだけど、その先の「ストーリー」や「キャラクター」が浮かばない。

「こういう風になったらいいのにな」ってアイディアは浮かぶんだけど、それをストーリーにするということは、このアイディアをキャラクターたちが破壊して、「元の普通の世界線」に戻していく話を思い描きがちなので、「せっかくの名案なのにキャラクターたちにぶち壊されてしまう」と思うと書けない。

考えて見たら、漫画の「ドラえもん」って、毎回そういう話なんだよね。「ドラえもん」は、のび太君のために毎回素晴らしい未来のアイテムを貸し出してくれるんだけど、「業の塊」であるのび太くんがそれを手にすると一瞬快楽に浸れるけど、かならずしっぺ返しが倍返しでやってくるオチ。

結局は、チートしないでコツコツ地味に、真面目に努力を重ねていくしかないんだし、それが君のチカラになるんだよ、っていう漫画。 確かにその通り。しかし描いている作者のほうは、気がめいらなかったのだろうかと思う。

「ドラえもん」のアイテムを創るとき、藤子不二雄先生方は、「これがあれば、世界は少し良くなるんじゃないか」って苦しみながら知恵を絞ってアイテムを創り上げる訳だけど、同時にその作品の中でそのアイテムの有用性を破壊する。毎回そういう話。私なら鬱になってしまいそうだ。

私がよく思い描くのは、「人工子宮」のアイディア。ただ、思う側からこれ、自分が小説にしたらキャラクターたちに破壊されてしまうようなあと思い、そこでアイディア止まりになってしまう。

いままで読んだ「人工子宮」が出てくる話の中で、唯一肯定的に使用されていたのが「星界の紋章」シリーズ。あの話は「人工子宮」がテーマではなく、自らを「星の民」として作り直していった新しい人類「アーヴ」と、旧人類との戦争の話がメインなので、「人工子宮」はアーヴの民ではごく普通のアイテムと化している。 私も、そこまで突き抜けたい。

「ドラえもん」の中でも、「タケコプター」や「どこでもドア」や「タイムマシン」は、「結局使えないアイテム」ではなく、「罰の無い普通のアイテム」になっていた。 色々考えたい。

「人工子宮話10連発」とか、自分の中でこのテーマを突き詰めて、書きまくってみたら、何か見えてくるものがあるだろうか。書くことには時間を費やすので、できるかどうかは別として。書くことの中から見えて来るものもあるかもしれない。

#ラジオ感想文 #高橋源一郎 #高橋源一郎の飛ぶ教室 #創作について #創造と破壊 #書き手の気持ち

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