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【2020年春コミ(C98)】カップリング表記ランキング

こんにちは。毎コミケ恒例、カップリング表記統計の時間です。
が、皆様ご存知の通り、C98は中止となってしまいました。
正直、この調査も中止にするか迷いましたが、紙版のコミケカタログは発売するということになったので、偉大なる先人曰く「Because it's there」(そこにサークルカットがあるからさ)の精神でいつも通り調査を行いました。

■調査方法

いつも通り、コミケカタログのサークルカット(32,442枚)から目視でカップリング表記を抜き出して集計しています。調査時間は約160時間。

調査の工程は
①コミケWebカタログで目視調査
②Web版で見にくい文字を冊子版カタログで確認
③ググっても意味がわからない表記を実際に現地(コミケ)に行って調べる
④米沢嘉博記念図書館でコミケの見本誌を調査する

となっていますが、今回はコミケ自体が中止なので③④はできません。そのため、①②までで完了としています。

■「カップリング表記」の定義

本記事内での「カップリング表記」の定義については、下記ブログ記事に示しています。ご参考までに。

■作品別表記数ランキング

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幻となった2020年春コミは、『刀剣乱舞』が返り咲き!
これまで33年分のコミケカタログを調べてきましたが、2位以下に落ちてからのトップ返り咲きは史上初です。カップリング表記の歴史の半分は「諸行無常」、残りは「盛者必衰」でできているわけですが、遂にその常識を覆す存在が現れました。前回1位の『FGO』が大きく減ったこともありますが、しっかり表記数も100以上伸びていて、確かな強さを感じます。

2位の『Fate/Grand Order』は「TYPE-MOON」ジャンル自体が2,012 → 1,540サークルと大きく落ち込んでいる影響が出ています。ただ、サークル数全体はざっくり25%減っているところを、カップリング表記は15%程度の減りなので、「カップリング表記を書くサークルさんは離脱率が低い」といえるでしょう。個人的には、「一時の熱狂的な盛り上がりは収まったものの、大ジャンルとして安定した」という印象です。

今回、なんといっても注目なのは『鬼滅の刃』。社会現象にまでなっている作品なので改めて説明する必要はないと思いますが、理不尽な理由で部下を(物理的に)クビにする激詰めパワハラマンをみんなでフルボッコにする慈しい話です。
昨年4月から9月にかけてのTVアニメで人気がブレイクしたため、前回の冬コミには間に合いきれず、今回急上昇してきました。

それと、今回はおまけとして11~20位のランキングも載せておきます↓

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■作品別表記増加数ランキング

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各作品の勢いを測る、表記増加数ランキングです。
今回初登場は『ポケットモンスター剣盾』。カップリング表記的には『ポケモンBW』(主にサブマス)以来の盛り上がりでしょうか。

コンシューマー繋がりでは『FE風花雪月』も急上昇。FEは「手強い恋愛シミュレーション」と呼ばれるだけあって、伝統的にカップリングシステムを内蔵しているので、二次創作が多いシリーズ作品です。そしていつも通り人気カップリングが分散しているのでそれほど差はないですが、「ディミトリ×ベレス」「シルヴァン×フェリクス」あたりが人気となっています。
カップリング表記として注目なのは、主人公関連の表記です。風花雪月の男性主人公のデフォルトネームは「ベレト」、女性主人公は「ベレス」で、最初の「ベレ」が被っているため、カップリング表記では「レト」「レス」の二文字が使われます。先程の「ディミトリ×ベレス」も「ディミベレ」ではなく「ディミレス」と書くのがデファクトスタンダードとなっています。

ソシャゲ関連では『第五人格(Identity V)』が人気です。第五人格では、各キャラクターに「占い師」「傭兵」「復讐者」などのクラス名の他に本名も設定されているため、同じカップリングでもどちらで表記するかの違いがあります。例えば「納棺師×写真家」はそれぞれの本名(カールとジョゼフ)から「カルジョゼ」とも書かれます。

10位の『野球』に関してですが、なぜ今回急に増えてるのか不思議に思って調べてみたところ、今回増加したというよりは、前回の冬コミで普段カップリング表記をたくさん書くサークルさんが軒並み落選&申し込みしてない状況で、その減ってた分が戻っただけのようです。前々回と今回は完全に同数でした。数字は中身が大切ですね。

■カップリング表記ランキング

「カップリング表記」のランキングです。「カップリング」のランキングではありません。表記がどう書かれてるかに注目しています。
前回の冬コミでは、映画の情報がいつまで経っても出ないのになぜか表記が増えていた王者「ヴィク勇」が「赤安」の追撃をしのぎきりましたが、4月になっても全く音沙汰がないのはどういうことですか、という流れできています。

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はい、今回も・・・ ・・・ ・・・じゃなく!
C98のカップリング表記ランキングトップは「赤安」でした!
これまで毎回のように「ヴィク勇!解散!!」し続けてたわけですが、今回は解散できないようです。ついに赤い彗星と白い悪魔がハセツ師弟を捉えてきました。
これは、片や新情報なしの永田農法、片や毎週原作漫画とTVアニメをやってる上に映画公開間近、金曜ロードショーで過去作まで流れてるプレミアムじゃぶじゃぶ農法(いい意味で)なことを考えると、自然な流れかなと思います。
それにしても、上位2表記の人気が飛び抜けてますね。

今回注目なのは新作『ポケモン剣盾』のエース「ダンキバ」です。
リーグチャンピオン×最強ジムリーダーの頂上決戦ライバル系カップリングで、オープニングムービーからしてこの2人のバトル(健全)から始まったりと、実質公式と言っていいレベルの手厚い福祉が提供されています。

それと、前回の記事で「おねショタはカップリング表記じゃないのでは?」というご指摘があったので少し解説します。


「おねショタ」は、キャラクターとしての「おねえさん(年上の女性)」と「ショタ(年下の男性)」のカップリングとは限らず、男性同士などでも使われ、「年の差カップリング」「体格差カップリング」などと同様の「属性」なので、カップリング表記とは異なる。
例:男性Aと男性Bに対して「A×Bのおねショタ」(女体化なし)がある

とてもニュアンスが難しいですが、概ねこのような話だと思います。
私も同感で、「おねショタ」「おにショタ」などは属性だと考えています。そのため、本調査でも原則、カップリング表記としてはカウントしていません。
ただ、ひとつだけ例外としてるのはオリジナル作品(一次創作)です。オリジナル作品でカップリング表記を書く場合、キャラクター名で書いても伝わらないため、「教師×生徒」「部下×上司」「獣人♂×人間♀」などキャラクターの属性で表記されることが多いです。そのため、本調査では
・オリジナル作品の場合は属性表記も集計対象とする
・二次創作では対象外とする
という基準で集計しています。「おねショタ」だけでなく、類似表記(ショタおね、おにショタ、ママショタ、ふたショタなど)も同様です。
これは、あくまで自分の調査の基準では「オリジナル作品の場合はおねショタをカップリング表記として扱う」としているだけなので、もちろん他の基準で集計するのもありだと思います。

■カップリングランキング

こちらは、多彩なカップリング表記をカップリング別に集計したランキングです。概ねカップリング表記ランキングに近いので、違いがある点を中心に見ていきます。

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カップリング部門も「赤井×安室」がトップに。元々『名探偵コナン』は長年社会福祉レベルで供給のあるジャンルなので、一度人気がブレイクすると長期的な人気が期待できます。

同じ『名探偵コナン』では、「降新」と「安コ」の順位が逆転しているのが面白いところです。2018年のゼロシコ直後は「安コ」が「降新」の2倍以上がありましたが、ここにきて「降新」が逆転してきました。

新興勢力の「ダンキバ」「義炭」は、同一カップリング内での表記の統一感が高いのが特徴です。「ダンデ×キバナ」のカップリング表記は86%が「ダンキバ」、「義勇さん×炭治郎」のカップリング表記は89%が「義炭」と、みんなでキッチリ揃えてきてる感が強いです。これは『プロメア』もそうで、特に最近の作品は事前にpixivなどのSNSで固まった表記(タグ)をサークルカットにも書く流れになっていると思われます。

■この攻めがヤバい!(2020春)

全作品対象の攻めキャラランキングです。(通称:攻ヤバ)

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今回のTop of 攻ヤバは今年の劇場版で大活躍(予定)の赤井秀一先生。最多相手はもちろん安室さんですが、意外にもいわゆる「ガチ勢」とされる9割には届いていません。
と思ってデータを少し掘ってみたら、相手先2番手は「降谷零」で6%だったので実質ガチ勢ですね。安心。

2位のヴィクトル・攻めフォロフさんはどこからどう見ても勝生ガチ勢なのでノーコメントです。
ところで、あの映画の特報映像は幻だったんでしょうか。(こんな時期なので、できれば公式がどこかに載せてほしい)

三日月さんちのおじいちゃんは、前述のガチ勢2人と違って相変わらずの気の多さ。ターゲットにされてるのは17人いて、中でも鶴さんとまんばさんが特にお気に入りのご様子です。

バーナビーとダンデはいわゆる「攻めの黄金比」とされる97%組。歴代のガチ勢を見ていくと自然とこの構成比97%という数字に落ち着く不思議なマジックナンバーです。ダンデはアニポケでも登場しましたし、タイバニは2022年に新作が決まっているので、今後の展開も楽しみです。

古参の審神者の方からよく「なんでまんばちゃんが攻ヤバに」と言われる総受けの申し子山姥切国広ですが、2018年10月の山姥切長義実装以降、攻め受け両面こなせる二刀流に開眼しています。

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長義実装前は「カップリング表記の9割で受け」だったので、「まんばちゃん=総受け」のパブリックイメージがまだまだ根強いですが、現在はこのグラフのように攻め受け半々レベルになっています。

■この受けがヤバい!(2020春)

全作品対象の受けキャラランキングです。(通称:受ヤバ)

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受ヤバトップは問答無用、「イケメンで優しくて有名でトリプルフェイスですいません」な安室透さんでした。ポアロの夜メニューに絶対ドンペリあると思うんですよね。(個人的な感想です)

面白いのは1位の安室→赤井ラインも2位の勝生→ヴィクトルラインも構成比が94%となっているところです。7位の虎→兎ラインはもう熟年感があるのでそれ以上ありますが、これがずっと見ていても、攻ヤバのような97%にはなかなかなりません。おそらく特定の攻めにガッツリ気に入られるような魅力的な受けは、他のキャラも放ってはおかないということでしょうか。

これを逆方向に振り切ってるのが『Fate/Grand Order』の女主人公「ぐだ子」です。ロマニはいいけど、8%て。相手は総勢58名。愛されすぎです。男性サーヴァントだけでなく、ノッブや武蔵ちゃんなどの女性サーヴァントに、クリプターパイセン達からも大人気です。

『鬼滅の刃』の主人公、ランキング初登場の「竈門炭治郎」もぐだ子に似た総愛され型です。ただ、炭治郎がぐだ子と違う点は、相手を指定しない「炭治郎受」「炭治郎愛され」が多いことです。とても感覚的な話ですが、サークルカットからは「なんとか幸せになってほしい」という強い祈りのようなものを感じます。
最多相手はやはり義勇さんで、「生殺与奪の権を他人に握らせるな」の言葉通り、同門対決は兄弟子が優勢です。相手は義勇さん以外でも煉獄さん、宇髄さん、無一郎にしのぶさんと、柱のみなさんから絶大な人気を誇っています。炭治郎が柱入りする時は「受柱」となるのは間違いありません。(総受けの呼吸)
それと一応、義勇さんも受けランキング42位には入っているので、別に嫌われてるわけではないです。

C98のランキング記事は以上です。

■今後の調査予定

現在、2007年夏コミ(C72)の調査中です。ゼロ年代の絶対王者『テニスの王子様』がどこまで連勝記録を伸ばすのか、後を追う『リボーン』『BLEACH』『銀魂』などのジャンプ後輩組の動向も楽しみなところです。

次のコミケは当初予定通りの12月に行われるのかが分からない状況ですが、注目作品は『ツイステッドワンダーランド(ツイステ)』です。ディズニー&アニプレックスという強い座組のソシャゲで、pixivでも3月のリリース以降、急激に作品数が増えてきています。他にも、原作クライマックスの『鬼滅の刃』に、赤井さん映画が公開待ちの『名探偵コナン』、リメイク発売の『ファイナルファンタジーⅦ』あたりの動きも楽しみです。

■予告:カップリング表記に関する意識調査(アンケート)2020

昨年実施し、28,629件ものご回答を頂いた「カップリング表記に関する意識調査(アンケート)」を今年も行います。
既に問題作成とベータテストまでは完了していますので、最終調整後、昨年と同じ5月2日より開始する予定です。
Googleフォームを使ったWeb上でのアンケートとなっていますので、よろしければご協力をお願いいたします。開始の際は私のTwitterアカウントから告知を行います↓

■研究成果をまとめた同人誌(BOOTH通販)

今月からBOOTHでの通販を始めました。各コミケ開催ごとのデータがまとまっていたり、作品ごとの特集記事もあります。あと、ネットに書けない系の情報もこちらに。
それぞれ少部数となっていますが、よろしくお願いいたします。


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タルト@カップリング表記研究家
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