「東大女子お断りサークル」を東大女子が解説してみた。

   初めまして!とむと申します。今話題の「東大女子お断りサークル」について東大に在籍する女子大生の1人から見た現状と意見をまとめてみました(バッチリ試験期間中ですが…)。できる限り両方の意見を考えたので、長いですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

 1、どうして「東大女子お断りサークル」が話題になっているの?

 東大にはサークルが山ほどあり、他大学の学生も入部できる「インカレサークル」も沢山あります。ひとくちにインカレサークルといっても、ジャンルも形態も様々。その中で今問題になっているのが、「東大男子と他大女子のみで構成されたインカレサークル」いわゆる「東大女子お断りサークル」。スポーツ系に多く、東大生の男女比率が現在でも8:2であるほど偏っていることから、かつてはお見合いサークルとして創られたのだと思います。学内の施設を他大生が使ってはならないという制約を課されつつ、ある程度黙認されてきたのですが、最近声明が出されました。それが「東大女子お断りサークルは新歓行事に参加させない」という声明でした。

 2、「東大女子お断りサークル」の何が問題?

 簡単に言うと、東大を拠点にしているにも関わらず、その構成員である学生を「性別」で区切っていることだと、私は思います。しかし、「ではそういうサークルは全部即お取り潰しにしよう!」という単純な解決はできないわけで、その複雑さをこれから説明します。 

 3、「東大女子」はこの問題をどう見る?

 東大女子がこの問題から受ける不利益は大きく2つです。

新歓イベントで拒否されることへの不快感

 東大の主な新歓行事に「テント列」と「サークルオリエンテーション」があります。テント列は各サークルがテントを張ってそれによって作られた道を勧誘を受けながら新入生が歩くというイベントです。普段は5分くらいで歩ける道を2,3時間かけて抜けることになるのですが、私たちが一瞬で通り抜けられる場所があるんです。それが、テニスサークルの区画。サークルのアップを着た綺麗なお姉さんに「頑張ってねー」と言われながら見送られるのですが、新入生の女の子はかなり違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。

 サークルオリエンテーションは教室に各サークルが待機して新入生が話を聞きたいサークルに行くというイベントです。お断りサークルにその教室から追い出されたという新入生の女の子の声をたまに聞きます。「同じ学費払っているのに、男子は歓迎されてなんで私たちは追い出されなきゃいけないの?」という気持ちはよく分かります…。

入れるサークルの選択肢が少ない

 マイナーなスポーツだと学内サークルがなく、運動会の部活しか選択肢がないという話や、3,4年生の女子が入れるテニスサークルは東大に一つもないという話は割と聞きます。

 しかし、お断りサークルは良くないと思う東大女子は多いものの、どうにかしようとまで思っている人は実は多くないと感じます。「そんなサークルはこちらからお断りよ!!!」ということなのですが、それで淘汰されてこなかったのも事実。これを機に糾弾の声をあげなければいけないのかもしれません。

 4、「東大女子お断りサークル」側の事情は?

 しかし、彼らにもそれなりの事情はあります。

東大男子は学内サークルに入るのが難しい

 あまり知られていませんが、一部のスポーツ系学内サークルには男子セレクションというものがあります。特にテニスなどお断りサークルが最も活発なスポーツ系は、競争率5倍の男子セレクあり学内サークル(女子セレクはない)vs東大女子お断りサークルという地獄絵図なわけですね。そのジャンルには学内サークルはないというスポーツもあります。「東大女子お断りサークル」に属する男子のほとんどが差別に加担しようと思って属しているわけではないことは知ってもらいたいです。

今更東大女子を入れるとなると他大女子との軋轢が心配

 軋轢など起こらないとは、東大女子である私も言い切れない面があります。東大女子も他大女子もいるインカレサークルでうまくやっているところもあれば、なかなかうまくいかないところもあります。お断りサークルの他大女子の中でも大学ごとに派閥があるというところもあります。お断りされているからこそ他大女子を好ましく思っていない東大女子というのも当然います。実際他大女子のことを知る機会が少ないからこそ、私も本当にわかりません。

 他大女子とうまくやれるかという問題の他に、他大女子への東大男子の扱いを疑問視する東大女子が出てくる場合もあります。(以下disりが入るので不快な方は5まで読み飛ばしてください。)

 あるサークルでは男子が集められて、試合でペアを組みたい女の子に電話をかけるのだそうです。複数の男子からかかってきた女の子は好きな人を選べるという一見女の子が強そうなシステムですが、「え?選ばれない女の子はどうするの???」とその話を聞いた時微妙な心境になってしまいました…。

 また、私は「東大女子お断りサークル」の男子の先輩・別のお断りサークルの女子の先輩と飲みに行ったことがあるのですが、そこでの会話がこんな感じでした。

男先輩「うちのサークルの女の子頭悪いからさーww(なおそのサークルに彼女がいる模様)」

女先輩「えーwひどいーw」

 正直衝撃でした。酔っているとはいえ他大女子の目の前で「他大女子は頭が悪い」と平気で言えちゃう人と、それを慣れているみたいに軽く受け流せてしまう彼女たち。もちろんお断りサークルの男子全員がそうではないですが、慣れているということはそういう風潮は本当にあるんだ…と感じました。

 5、考えをまとめよう!

 以上の通り、なかなか複雑で、この問題は単純に東大男子→東大女子の差別構造とは捉えられないと思います。逆もあるし、東大男子→他大女子も、東大女子→他大女子も絡み合っています。そして、「東大男子」「東大女子」「他大女子」と過度にくくって考えるのも本質から遠ざかります。それぞれ違う事情や心情を抱えていることを踏まえて議論していかなければいけません。

 これまでの文を読んできて薄々感じている人もいるかもしれません。この問題は東大生の男女比率がある程度均衡にならないと終局的には解決しません。学内サークルは新歓の時、女子練習会・女子お食事会は頻繁に行い、東大女子の囲い込みにかなり力を注ぎます。学内サークルを増やすとそれぞれのサークルに分配される東大女子は少なくなり、各サークルが機能不全に陥ります。東大女子と他大男子による「東大男子お断りサークル」を作ればいいのではという意見もありますが、同じ理由で作るインセンティブは失われます。

 東大生の男女比率が鍵になるとは言っても、今回の新歓規則変更の声明は大きな一歩です。なぜなら、「東大女子お断りサークルは良くないけど仕方ないよね」という意識を払拭する一歩になるからです。

 去年だったか、あるお断りサークルが今年から東大女子を受け入れると新歓の時に発表したんですね。それに対する反応はどうだったと思いますか?見事に炎上しました。「上から目線だ」「こっちから願い下げだ」という声が多かったんです。つまり、一つのサークルが改革しようとしてもかなり難しい。東大全体の空気が「これっておかしいよね、絶対に変えなきゃいけないよね」とならなければ解決しません。ですから、新歓に参加させないことでお断りサークルの地位を下げ、意識を擦り込むことが解決に貢献すると私は期待しています。




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