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参院選と絶叫と鴨南蛮

昨夜、突然襲ってきた寒気と倦怠感。また発作の後遺症のような症状である。10日もかけてやっと治ったのにまたぶり返してしまうのかと思うと落ち込んでくる。

昨日は野球中継とYouTubeに違法アップロードされている映画を見た。大谷が特大のホームランを放ったがエンジェルスは負け。見た映画は「タンポポ」。当時はそれほど面白いと思わず、大滝秀治が喉を詰まらせる「鴨なぁ〜ん。天ぷらそば〜。お汁粉〜」という蕎麦屋の店員の女性の声しか印象に残らなかった。

かなりの時間、テレビを見ていたのが要因かもしれない。auの回線障害にも興味があったので、延々とiPadを見続けたのも良くない。夜の薬を飲むと、30分ほどで楽になった。

====ここまで昨日====

朝起きると、気分は良い。発作後も朝は気分がいいが、次第に悪くなってくるので要注意。明太子パスタと豆乳、トマトジュース。テレビは見ずにできるだけ横になっていよう。もう十数年来同じだが、私には特別な用事はない。


今日は選挙までの「ラストサンデー」ということで、全国各地でスピーカーの声が鳴り響いたと思う。かくゆう私のところも同じで、中でも某党の大絶叫は凄まじいものがあった(もともとこの党は普段からイタズラに大絶叫で演説をする)。

我が家はマンションの上階なのだが、駅から至近なので駅前の音がやたらにうるさい。マンションは上階だと静かのように思われるかもしれないが、実は、遮蔽物がないので音がダイレクトに伝わってくるばかりか、他の建造物にまで反射して響くので、下層階よりうるさいのが現実だ。駅前のイベントや、ゲリラシンガーなどは反射して増幅されて騒音に近い。

そこで、MOLDEXの耳栓とAnkerのノイズキャンセルヘッドフォンをつけたのだが、それでも聞こえてくる。そろそろ選挙演説や住宅地を練り歩く街宣車など、法律の改正が必要なのではないかと思う。

彼らが一段と大きい声を張り上げるのは、東京選挙区の情勢調査によるとかなりの激戦が繰り広げられているからのようだ。自民党からタレントの生稲晃子、れいわ新撰組の山本太郎が立候補して注目を集めている。マスコミ各社の世論調査によると、東京選挙区の6議席のうち、

朝日健太郎(自民)
生稲晃子(自民)
蓮舫(立民)

この3人は当選圏内。ついで、

竹谷敏子(公明)
山本太郎(れいわ)

が続き、残り一議席を

山添拓(共産)
海老澤由紀(維新)

が争っているらしい。

それはいいとして、不可思議なのはTwitterで共産党支持者が「山添さんが生稲のせいで落選したら日本は終わりだ」「都民は日本の恥だ」「自民党の組織票に負けるな」などの奇妙な声が多数上がっていることだ。それは違うだろうと思う。

今回改選される東京選挙区は、前回、蓮舫(民進=当時)が100万票以上を獲得してトップ当選したほか、自民党が2議席、公明1議席、民進党がもう一議席、そして共産党が一議席という、実に上手に議席を分け合っていた場所だ。もともと自民は2議席を確保できる選挙区なので、中川雅治氏の引退にともなって立候補した生稲が当選するのは不思議でもなんでもない。

立民には2議席あったはずだが、実力者の小川敏夫が出馬せず、代わりに出馬した松尾明弘は、今まで衆院選に出馬して2度とも敗北し、議員になったのは、強制猥褻問題を起こした初鹿明博の辞職で繰り上げ当選しただけ。つまり選挙では一度も勝ったことがない。知名度、実力ともに何段階も落ちる上に立民の支持率が低迷しているのだから、当選圏どころかまったく名前もあがらないのが当然である。

単純に考えると、1議席が宙に浮いた「野党票」もあって、共産の山添は安泰のように思われるが、ここに殴り込みをかけてきたのが、ご存じの山本太郎である。山本は知名度はあっても基礎票がない東京選挙区では苦戦すると思われたが、1議席が空いた野党票の一部に加えて「反自民票」を奪っている。つまり、何が言いたいかというと、「共産を苦戦に追い込んでいるのは生稲でなく山本太郎だ」ということだ。

反自民、反原発、憲法改正反対という基本的な政策では、共産とれいわはまったく同じ。かつて民進に投票していた野党票の中には「共産党アレルギー」も少なくない。何より、山本太郎の公約(現実的かは別にして)は、消費税撤廃、季節ごとに10万円給付など、単純明快で庶民ウケ(愚民かもしれないが)はいい。票とは、公約が対立する候補から勝ち取るものではなく「同じ主張の候補同士で奪い合う」ものだ。

共産党の支持者は生稲を攻撃しても意味はない。生稲に勝てる見込みは最初からまったくない。ましてや都民をバカ扱い(彼らは「反知性主義」などと言って相手を見下して否定する悪い癖がある)したら、支持どころか反感を買うだけだ。こうした勘違いは、おそらく共産党の支持者は「我々は庶民から支持されていて、浮動票も獲得できる」と信じているからだろう。残念ながらそんなことはない。生稲へ集まった浮動票はそもそも共産党に流れる可能性の無い票だ。見当違いの嫉妬である。

ところが、中には「なぜ芸能人に負けるんだ!」という声まであかる始末だ。おいおい待ってくれ。以前には「タレントが政治的な発言をしてはいけないのか」と言っていたはずだ。とうぜん生稲にも政治に参加する資格も被選挙権もある。自分たちの都合で主張を変えてはいけない。

しかも、Twitterを見る限り、自民党の支持層や保守派の関心は共産党ではない。彼らが目の敵にしているのは蓮舫である。当選は阻止できないとしても、なんとしても朝日、生稲に続く3位に落としたいらしい。そうなると、自民の基礎票に浮動票、反蓮舫票まで加わって生稲の獲得票はかなり伸びるだろう。生稲と山添とはそのぐらいの差がある。自民は山添を敵とすら思ってない。

もし共産党が狙いを定めて引き摺り下ろす候補がいるなら、それはもちろん山本太郎であり、もう1人は最後の議席を争う維新の海老澤だ。支持者もそのぐらいのことはわかって欲しいと思う。

とは言え、最終的には山本太郎も山添拓も滑り込んで当選し、海老澤は敗れるような気がする。共産党はラストでブーストをかけてくるだろう。彼らの組織力は、他の政党とは異なった次元がある。

維新の海老澤は東京出身らしいが、曲折あって大阪市議である。元大阪市議の候補者の応援に、維新幹部の大阪府知事や大阪市長がやってきている。国政選挙だから構わないと言えば構わないのだが、なぜ東京選挙区に現職の大阪地方自治体のトップが揃って声を張り上げるのか。率直に言って、松井も吉村も東京では無名とまでは言わないが、少なくとも「維新神通力」は通用しない。橋下でも応援演説すれば別だが、それはないだろう。

山本と海老澤が当選すると、東京選挙区の6人のうち、3人が元芸能人、2人が元スポーツ選手になる。全国各地から田舎者が集まっている東京の浮動票は、良くも悪くも(良くはないか)有名人に集まるのだ。

何が言いたいのか分からなくなったが、取り敢えずもう少し選挙は静かにやって欲しいと思うのだ。暑い日にはエアコンの効いた部屋で鴨南蛮が食べたい。そんな日曜日である。


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