アラサー通り越してアラフォー 漫画投稿を始める

平日の火曜日 こんな時間に知らない番号から連絡がきた。私は知らない番号でも一応出る事にしている。そして黙って相手の反応を伺い、セールスだったら即断るのでどうせ携帯会社のwifi契約の電話だろうと思いながらも応答ボタンを押したら何やら普段のセールス電話とは違ったふわふわした女性のゆっくりとした喋り声が聞こえてきた。

「●●編集部の●●と申します~」

は?となり 急いでスピーカーをオンにするがなんか少しだけ聞き逃した。私は確かに賞に応募したが、出張編集部でボロッカスに言われた漫画で最低目標の「最後まで仕上げる」をなんとか達成し、せっかく描いたんだから応募して総評もらって次の参考にできたらな という気持ちだったので本当に本当に本当に本当になんの電話かわからなかったので「えっ?あ はい はい」といった反応だった

フワついた頭で話をきいていると私のボロカスだと思った漫画は今日二次選考を通過して、最終選考に残ったらしい編集部からも評判が良く、これから審査員の先生に見せるためのゲラを作るのでデータを送りなおして欲しいとの事で言ってる事はわかるが、この現状はまったくわからなかった

私は漫画を描くのが好きで、ずっと漫画家にあこがれてはいたが決して上手い訳ではなく、同人誌も出していたが大人気壁作家になることもなく絵もずっと上手くならず、それでも好きだからずっと描いてきただけのどこにでもいる、誰にでも描けるような漫画しか描けない、36歳の女だ

憧れの雑誌の、憧れの賞に 記念受験の様な嘘だ 本当は 今回は無理でもいつか いつかと 次も送るぞと もう次も描いている嘘のようだ

一次創作をしたのは小学生の頃、ノートにびっしり描いていた暗殺集団(???)の漫画とあとは色々色々 完成しない漫画たちと就職に失敗して即辞めた後に現実逃避に描いた漫画を持ち込みしたらそもそも原稿の描き方がわからず枠線や断ち切りを無視して用紙いっぱいに描いていて本当に無残なことになりそれ以来ずっと描いておらず、社会人としてそれなりに落ち着いてから二次創作で同人誌を描いていたもう一生私はこうして自分だけの為だけに、家族に見せられないような漫画をコソコソ描いていくのだと思っていた漫画を描くのが好きだ漫画をどんな形でもいい 一生描いていきたいから行動することにしたんだ だから嬉しい。嘘でも嬉しい。嘘じゃないともっと嬉しい…

嘘かもしれないので、嘘だったとしても傷つかないように自分に保身をかけているいい人生だった 最終選考が終わったらご飯を食べようと言ってくれているもしかしたら全額払わなければならないので10万えんくらい持っていこう


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