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免疫を知ろう!その2~腸活ラボマガジンVol.19~


はじめに

こんにちは、やまだです。今回は、免疫の第2回。大きく分けて2種類ある、自然免疫と獲得免疫の役割を見ていきましょう。

自然免疫と獲得免疫の違い

自然免疫と獲得免疫の違いについてみていきましょう。
まず、自然免疫は、もともと僕たちの体に備わっていると前回お話ししました。自然免疫では、病原体の特定の成分をゆるく認識できる分子を使います。具体的には、細菌の細胞壁の共通成分であるペプ チドグリカンやリポ多糖体をまとめて認識できる分子やカビである真菌の細胞壁の共通成分であるβ-1,3-グルカンやキチンなどをまとめて認識できる分子などです。この病原体に特徴的なパターンを病原体関連分子パターン(PAMP:Pathogen-Associated Molecular Pattern)と呼びます。ひとつの細胞が幅広い病原体の成分に対してゆるい結合をする分子を複数持っていると、ほとんどの病原体に対して反応できます。また、その反応は早いです。しかし、そこまで強い反応はできません。
一方で獲得免疫はどうでしょうか。獲得免疫では、数百万単位という数の異なる分子の中から一つだけ細胞の表面に出しています。感染が起きた時に、病原体の成分にとても強く結合できる分子を出している細胞が増えて、攻撃を加えます。それが増えるのに時間がかかるので、初めて感染したときの反応は遅いです。しかし、増えきると強い反応を起こせます。

自然免疫の仕組み

では、それぞれの免疫でどのような細胞が活躍しているか見てみましょう。まずは、自然免疫です。
ケガなど様々な要因で体の中に病原体が侵入してきたときにいち早く反応するのが、好中球やマクロファージです。これは、食細胞と呼ばれ、先ほど言及した病原体を認識できるパターン認識受容体というものを何種類も出しており、それを用いて食べます。

図1 自然免疫による病原体の処理

一方で、食細胞がうまく処理できない相手もいます。例えば、黄色ブドウ球菌によって作られるエンテロトキシンなどの毒素です。これは、食中毒の原因になります。また、病原体が血管内を循環している場合も補足されにくいです。また、ウイルスやサルモネラなどの一部の細菌などのように細胞に侵入するタイプの病原菌に対してもうまく働けません。つまり、死細胞は処理できますが、生きた細胞を処理するのは難しいわけです。

図2 食細胞がうまく処理できない場合

獲得免疫

こうした自然免疫の苦手なところをカバーするために獲得免疫が存在します。獲得免疫で働く細胞は、細胞の表面に抗原に特異的に結合する分子を出しています。これを抗原レセプター(受容体)と呼んでいます。
例えば、T細胞のひとつキラーT細胞は、ウイルスなどに感染した細胞を殺すことができます。感染した細胞は、感染したことを示す抗原を細胞表面に出しているのでキラーT細胞は、T細胞レセプターを用いて抗原を認識して感染していることを見破ります。
また、B細胞でも同様にB細胞レセプターというものを出しています。これが放出されたものが抗体です。抗体は、血中を流れて、毒素やバクテリア、ウイルスに結合して無力化できます。これらは、1対1反応なのでとても強い反応です。

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