【先輩エピソード】ハルク系特殊能力を持つ男
こんにちは。
JUNです。
今日は、火事場の馬鹿力について語ろうと思います。
この話は職場の先輩から聞いた話。
20年くらい前、先輩は都内の某ゲームセンターにて当たった景品を原付バイクに仕舞い込み、家路に着こうとしていた。
それはある晴れた日のことだった。
視界は良好で、順調にバイクを運転していた。
しかし、ある交差点に差し掛かったところで対向車線の車に衝突されてしまった。
それなりなスピードが出ていたので、身体が地面に叩きつけられた時の衝撃はかなりのものだった。
「ガシャバラバラバラ」っと何かが散らばるような音がするのと同時に身体に走る感電したような痛み。
「いてててて」
そう言いながら、立ち上がろうとした瞬間、車の運転手が車から降りてこちらに向かって来る。
そして何処からともなく人が助けにこちらに向かって来るのが見えた。
その時だった。
バイクから放り出されたゲームセンターで手に入れた景品が交差点に散乱しているのが目に入った。
「や、やべぇ!!」
——————————————————————————————————
ゲームセンターにて。
景品は、アダルトビデオになります。
先輩「え?」
店員「どうぞ」
手には数本のアダルトビデオがあった。
そしてそれらは、マニア向け嗜好のビデオだった。
「捨てるわけにもいかないし、とりあえず家で処分するか。」
バイクのサドル下のスペースにビデオを詰め込み、バイクのエンジンをかける。
「ブルルルル」
——————————————————————————————————
助けようと駆け寄る人たちの動きがスローモーションのような低速の動きに見える。
「な、なんとかしてビデオを回収しなければ!!」
駆け寄る人たちを振り切り、必死に散らばったビデオをかき集める。
それはまるでオイルショック時にトイレットペーパーを買い集める狂気じみた人々のようだった。
気づいたら、全てのビデオを回収し、バイクに仕舞っていた。
「いや、ぜんぜん大丈夫なんで!!」
そう言って、バイクに乗り、そのままその場を後にした。
「まったく危なかったぜ。」
それから数分後、足に激痛が走ることに気づいた。
もちろん足が骨折していた。
いまでもその古傷が痛むことがあると言っていたが、まさに先輩はアダルトビデオを回収することに必死になり火事場の馬鹿力を発揮していたのである。
自分は生まれてこの方、火事場の馬鹿力を発揮したことはないが、絶対に先輩のような状況にはなりたくないと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?