第16回「キャラの設定って、どのくらい必要?」
「これは主人公の身長、体重…」
「これは住んでる家の間取りね…」
「これは家族構成とクローゼットの中身…」
それは、とある作家さんが新連載の打合せで見せてくれたキャラクターの“設定”でした。
当時、編集として経験の浅かった僕は、その詳細さに圧倒される一方で、先輩編集から言われた「設定が多すぎる漫画はダメなんだよ」という言葉も思い出し…
「一体、キャラの設定ってどこまで作るのが正解なんだ!?」
と混乱しました。
たまらず、恥も外聞もなくその作家さんにそのまま聞いちゃったんですね。
僕「あの…すごい量の設定ですが、いつもこれだけキャラクターの設定を考えるんですか?」
某先生「ん?まぁ、そうね、このくらいは基本、考えるかな。っていうか俺は“設定”って言葉があんまり好きじゃないんだけどね」
僕「そうなんですか!?すいません!」
某先生「いや、別に打合せ用語として“設定”っていうのは構わないんだけど、俺の中では“最初からこのキャラ、人間にあるもの”だから。なんか設定っていうと後付けっぽいイメージ無い?」
僕「確かに」
某先生「どんな人間にも身長や体重、あるよね?家族が多い少ないとか、一軒家なりアパートなりどこかで暮らしてるし、服着るじゃん?」
僕「着ます着ます。」
某先生「こういうことがわからないと“チビって言われたら怒る”みたいな、そのキャラらしい会話っていうのも生まれてこないからさ」
…ということを教えてもらったんですね〜。
設定を頑張って作るというよりは、生き生きと会話したり、面白いリアクションを取れるように、そのキャラクターにインタビューしておく…みたいなイメージを持ちました。
「設定が多いことがダメ」という言葉をもうちょい足すと「会話やリアクション、人間関係に関わらない設定が多いのはダメ」ってことなのかもしれません。
「キャラが立っていない」というのも編集が1万回くらい口にする言葉だと思いますが、我ながら漠然とした言い方だな〜と思ってました。「そのキャラに必要な“設定”は聞き取れているか」と問い直してみてるとまた違ったイメージが湧いてくる気がします。
今週は以上です!
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