見出し画像

第4号「画力って、何?」

さて、今週のテーマは「画力って何?」です。
僕もこれまで持込でも新人賞でも新人作家さんに「画力が…」って1万回ぐらい言ってますね、たぶん。

もちろん漫画は絵から受け取る情報が多いので、画力が高いと「なんかこの新連載の絵、かっこいい!」「このカバーイラストに惹かれて買った!」と有利なのは間違いないのですが…

画力って数値化できない…ですよね。

まだ「正確さ」はパッと見でわかりやすいですが(デッサンや遠近感が整っている、など)
一方、「正確な絵」だからと言ってイコール「面白い漫画」でないところが漫画の奥深いところだと思います。

もちろん、人によって画力の定義が異なると思います。
あくまでも僕が後輩編集に「…で、小田さん、画力画力って1万回くらい言ってますけど、具体的に画力が高いってどういう事なんですか?」と
聞かれた時にどう言語化しているのか、という話です。

僕は
「作品内の感情を読者に共感させることができる力」を
「(漫画における)画力」と定義しています。

…わかったような、わからんような…🤔
要は「かっこいい!」とか「かわいい!」とか「怖い!」とか「エロい!」とか「読者にこう思って欲しい」ということをキチンと伝えられる絵が漫画における「画力が高い絵」なんじゃないか、と。

月マガの新人賞にも「画力」という項目がありまして…。まぁ、賞なんで、これをどう(無理矢理)点数化しているかというと…

大きくは2項目、細分化して4項目です。

項目1【表情】
項目1−1:喜怒哀楽のレンジ(途方もない喜びや、泥を呑んだような絶望…など感情の最大値)
項目1−2:喜怒哀楽のグラデーション(本当は嬉しいけど照れ臭くて顔に出せない、本当は深く傷ついているけど無理して笑うなど、感情の濃淡)

項目2【背景】
項目2−1:「いつどこで誰と誰が何をしているのか」ということがわかる、情報としての背景。
項目2−2:その風景が作中で表現したい感情を捉えているかという、情感としての背景。

…です! 「え?4つだけ?」と思いますか?「4つもあるのか」と思うでしょうか?

ちなみに、この4つが全てが基準を満たしている必要もないです。(項目2−1だけは最低限必要なラインがあると思っていますが。)
むしろ「何が得意な作家さんなのか」を探すことに注力するための個人的なチェックポイント、という印象です。

いかがだったでしょうか?漫画における「画力」の話。
どんな絵を良いと思うかは千差万別ですし、だからこそ面白いと思っています。全部、ひっくり返すようですが、突如語彙を失って「なんか途方もなく好きなんだよな、このシーン!」というのが僕にもたくさんあります。

ぜひ皆さんの中の名作や名シーンも教えて下さい!
それではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?