判例解説抜粋|子の連れ去りが横行しているのは法治国家の根幹に関わる事態

法曹を目指す学生向けの月刊誌「法学教室」の2020年3月号の「判例セレクトMonthly」における甲南大学櫻井智章教授による判例解説より抜粋

【該当判例】

東京地裁令和元年11月22日判決

平成30年(ワ)第7263号 国家賠償請求事件

【論点】

別居親の子との面会交流権は憲法上の権利か。

【判旨】

別居親と子どもとの面会交流が保障されていないことは憲法に反しない。

【担当判事】

前澤達朗 中畑章生 豊澤悠希

【判例解説抜粋】

家裁実務は「拉致司法」と批判されている(コリン P.A.ジョーンズ『子どもの連れ去り問題』)。本来の趣旨から外れた人身保護請求の流用にも示されるように,この分野が正常な状況とは言い難いことは間違いない。「子の連れ去り・奪い合い」という実力行使(自力救済)が横行しているのは法的救済に不備がある証拠であり,法治国家の根幹に関わる事態であることを認識する必要がある。



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