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これが僕の1年だと胸を張ろう。#カメクラの沼カレ2020

今年もこの季節がやってきた。そのうち「僕がカメラだ」とか言い出しそうなコトバコのしむさんが主催する、カメクラたちの狂宴、#カメクラの沼カレ の季節が。クリィスマス、ボォーウナス、オトシダゥマなどなど、カメクラがあれやこれやと理由をつけて機材を買えの買うのの大騒ぎ。あれを買え、これがいいぞと作例を見せあい、機材そのものを見せあい、互いに互いを誘惑しあって全員で地獄に堕ちようという素晴らしい企画。
僭越ながら、そこに僕も乗っかっていこうと思う。
とはいえ今年はそんなに大幅にカメラの入れ替えはなかったので、この1年で愛機たちと生み出したお気に入りの写真ベスト10を頼まれてもいないのに発表して、機材の入れ替えだけじゃなく撮るのもブチ上がるよというのを伝えられたらと思う。
もし10枚の中に気に入った写真があったら、教えてくれるとバク宙しながら喜ぶ。
それでは早速10位から紹介していこうと思う。

10位 暁景長良川(ギョウケイナガラガワ)

秋の深まった長良川で、早朝の太陽を待ちながら撮った1枚。この写真は、昇りそうで昇らない太陽の焦らしプレイの果てに生まれた。
岐阜市のシンボル金華山の向こうに太陽の予感を残しつつ、これまた岐阜といえばの伝統を後世に伝える鵜匠さんを入れて撮ることができた。岐阜を特盛にできたところがお気に入りポイント。
使用機材はX-H1 XF16-55mm F2.8

9位 単傘窓景(タンサンソウケイ)

いまだにどうやって撮ったのか分からない1枚。確か大阪で遊んで帰る途中、停車駅で何気なく電車の外に目をやって撮った。吊り輪が映り込み、電車の中で傘をさしているかのように大写しになった男性のバックショット。電車のドアが傘に映り、男性の肩から上は消失したかのようになっている。もう一回撮れと言われても無理だなあと思う1枚。
使用機材はX-Pro2 XF90mm F2.0

8位 最上稲荷猫景(サイジョウイナリビョウケイ)

日本三大稲荷に数えられることもある、岡山の最上稲荷山妙教寺で撮った1枚。今年XF90mで撮った中でも抜群のジャスピン。去年まで開放で使ってばかりだったが、ほんの少し絞っただけ(F2.8)でこうも世界が変わるのかと驚いた。元データ拡大ニヤニヤ遊戯がはかどってしょうがない。XF90mmは前から称賛していたけど、崇め奉りたいにランクが上がった。
使用機材はX-H1 XF90mm F2.0

7位 頭頂鯉紅葉(トウチョウコイモミジ)

旧閑谷学校で堂内の床にリフレクトする紅葉を撮った帰り、ふと覗き込んだお堀に紅葉が1枚浮かんでいるのが目に入った。周囲にはのんびりと泳ぐ錦鯉たち。ピンときてカメラを構えて待つ。待つ…待つ……はい今!!と紅白の錦鯉が良いタイミングで通るのをじっと待ち続けた我慢の1枚。
使用機材はX-Pro2 XF90mm F2.0

6位 斜陽灯台点景(シャヨウトウダイテンケイ)

あまり住んでいる街の近くでは撮らないのだけれど、珍しく兵庫県で撮った1枚。特に何をしていたわけでもない休日。太陽が沈み始め、何の気無しに車を走らせた先に綺麗な夕景が。この辺りは牡蠣の養殖が有名らしいが、僕は何も知らなかった。体を運んだ先で知れることがたくさんある。その場にカメラといられることが無性に嬉しく思う。
X-Pro2 XF16-55mm F2.8

5位 友景鞆浦(ユウケイトモノウラ)

広島県の鞆浦にて。ここまでは構図が思った通りに決まったと思う写真を選んできたが、この1枚は友人達との間に流れていたゆるく楽しい空気が写せたので選んだ。特にひげこいさんの手が良い。上手く表現できないのだけど、この置かれた手はパパよりお父さんって感じがする。
使用機材はOM-1 ZUIKO AUTO-W 28mm F3.5 フィルムは業務用100

4位 紅葉帳単景(モミジノトバリタンケイ)

友人たちのワザを盗もうとして生まれた1枚。紅葉を前ボケに紅と黄色を好きなバランスで配置するのが難しかった。木を傷付けないようにギリギリのガニ股でカメラを構えている。プルプルしていたに違いないが、ブレていないのはX-H1の手ぶれ補正のおかげ。
使用機材はX-H1 XF90mm F2.0

3位 紅葉渦巻単景(モミジノウズマキタンケイ)

紅葉が続く。今年の秋は少し進歩の秋だったような気がする。『絵を見る技術』という本を読んで以来、今年のテーマは見る人の視線を画面から逃がさない視線誘導を心がけてきた。それが今年イチ決まったと個人的に思っている1枚。左下から右上へと登るように前ボケ紅葉を配置、右上から左下下方の端に向かうように紅葉の後景。紅葉の渦に従って視線を動かした先に被写体が登場。そして被写体の視線から腕の流れを辿ると前景の紅葉に戻る。気持ちいい。ハマった!ハマった!という喜びを来年はもっと高頻度で味わいたい。
使用機材はX-H1 Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/100

2位 砂丘躍駆鶴舞(サキュウヤックツルノマイ)

シンプルに画面を整理できたうえに、服や肩掛けの色もバッチリ収まりよくなっている。砂に足を取られながら「待ってくれ〜」と情けない声を出しながら撮ったにしては決まった。マニュアルでフォーカスもよく合った。額装したいと思える1枚。
使用機材はX-Pro2 Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/100

1位 伊古部海岸遊歩点景(イコベカイガンユウホテンケイ)

現在iPhoneのホーム画面にしている1枚。縦構図大好きマンとして撮ってきた今年イチ。被写体のブルゾンが対になっているのも、2人の間にわんこがいるのも、伊古部海岸の風景と相まってどことなく海外のような空気を醸し出している(と勝手に思っている)
連続テレビ小説「エール」のオープニングの舞台にもなった伊古部海岸。今年遊びに出かけた場所の中でも一・ニを争うぐらい気に入った場所で今年イチの1枚が撮れたのが嬉しい。今度は朝から1日のんびり撮り過ごしてみたい。
使用機材はX-H1 XF35mm F2.0

以上、僕の僕による僕のための厳選写真10枚を淡々と紹介してきた。
今年は色々な面で大変な年だったと思う。僕も努めていつも通りに、いつも通りにと自分に言い聞かせながら生活していたつもりだったけれど、心身ともに削られていると感じる場面が随所にあった。
そんな時、カメラを手に取り(どうだ?)と自分の心に問いかけていた。自分以外には伝わらないたった一言の問いかけ。
答えはいつだって同じ「大丈夫。僕は写真が大好きだ。撮りに行きたくてしょうがない」
それだけが心の指針だった。他のどんなことも先行きが見えなくて、不安になったとしても、相棒と呼べるカメラたちがいてくれるだけで充分だった。
いつも変わらず僕を見たこともない驚きの前に連れていってくれるカメラたち。出会うことができて本当によかった。
そして同じくカメラを、写真を愛する多くの友人たちに出会えてよかった。毎年この季節になり、沼カレの季節になると感謝の念がふつふつと湧いてくる。
僕の大好きな沼の住人たちが、今日も日本のあちこちで、自身の愛機と次はどこに行こうかと相談している様を想像しては、1人静かにほくそ笑んでいる。
みんな、来年はどんな沼に沈んで、どんなところで写真を撮る?お酒でも飲みながら話せる日を播磨の地で待ち侘びながら、擱筆としよう。

また新しい日々がやってくるのだから。僕は次の沼へ進む。みんなもどんどん沈もう。

※この記事はコトバコのしむさんが主催する 【2nd Roll】カメクラが沼へ誘う Advent Calendar の13日目でした。
12日目はGFXが羨ましいうえに、僕の記事を縦構図まみれと看破したOEさんでした。

明日14日目は「旅かめら」を運営されている伊吹さんです。

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