【創作大賞感想】セイアイの星 #眠る女
吉穂みらいさんの「眠る女」が完結しました、こちらです。
「睡眠障害に罹患している女性」という、かなり特異な状況の主人公を巡る男女の物語、「恋愛小説部門」にエントリーされていますが、私の印象としては「性愛(セイアイ)の物語」という感じでした。
主人公とパートナーを巡るミステリアスな展開、主人公の心情の変化、主人公を取り巻く人物たちの不思議で優しい行動、散りばめられた伏線の謎解きを純粋に楽しむことができる、大人のエンターテインメント作品です。楽しませていただきました。
ここからは、ちょっと真面目な話をします。理屈っぽい話が好みでない方は、そっ閉じをお願いします。
さて、偶に聞く話に「りっしんべんは心を表す偏なので、『性は心と生きる』という意味がある」というものがあります。本作「眠る女」はそういう意味で、性愛を深堀りしたお話だと感じています。
(エログロはありませんが、念のためここからは大人の方だけお読みください。次の猫の写真に意味はありません。スペースを確保しただけです)
性行為の意味を考えると様々な意見があるかと存じます。ざっと思いつくままに書きますと、生殖行為・快楽行為・愛情表現・義務的行為などでしょうか。状況や相手によっても意味が変わると考えています。もちろん意味が一つだけということもなく、複数の意味が複雑に絡み合うこともあると考えています。
また「性」は「心と生きる」と表現しましたが、心と体も密接に関係しており、性を考える時には体のことも考えなければなりません、実に難しく、ある意味では太古の昔から存在しながら、未だに正解が出ていない命題のようなものかもしれません。
その命題に果敢に取り組んだのが本作「眠る女」であり、性の根底にある愛の存在を信じ、掘り起こそうとしているように感じます。性とは愛とは何か、生きることの意味は。
そういう意味では登場人物の名前を「源氏物語」由来にしているのも、作者の好みというだけではなく、あの名作古典も「性愛の物語」という点で重なり合うからかもしれません。
名作古典同様、本作でも性愛の美しくない部分も描かれていますので、純真な若者には受け入れ難い部分もあるかもしれません。恋に恋するような若者には「ソウアイの星」をおススメします、こちらです。
ただ、ある本によれば「恋にあるのは下心、愛にあるのは真心」ということだそうです。「眠る女」という性愛の物語は「心と生きること、真心を持つこと」を作者が掘り起こしながら、読者に問いかけてくるお話なのかもしれません。
と、真面目な話をしてしまいました、すいません。こういう理屈ではなく、魅力的な登場人物たちが織りなす物語を楽しむことが肝要かと思います。
そして作者を信じてエンディングを慈愛を噛みしめていただければと存じます。
#何を書いても最後は宣伝
作者はkindle出版もされています、こちらです。
この作品への私のレビューがこちらです。
どこか「眠る女」の感想にも通じるようなレビューに感じます。
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