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【駄文】希望のワインを騙らせてください

 作家と称する以上は「作品で伝えなければならない」と考えているのですが、このお話については、補足で騙らせてください。

 近年「日本ワイン」の市場価値とか評価が上がっている印象を持っておりまして、非常に嬉しく思うのですが、一方で
「150年、ここまで150年を要しているのです。150年以上前からワインの醸造に賭け、取組み、不遇とも言える時代に、倦まず弛まずワイン醸造に取り組んできた先人たちのおかげで今があるのです」
ということを語りたくなるのです。

 150余年前の明治維新の後、異国の方々の需要に応えるためにワイン醸造に取り組んだ方々がいたと聞いております。醸造どころか、ワイン用の葡萄栽培から始まり、異国に学び、試行錯誤、紆余曲折しながら艱難辛苦を乗り越えてワイン造りを続け、志半ばで事業から撤退した方、経営破綻した方々もいるようです。

 もちろん「ワイン事業で儲けよう」という方もいたとは思いますが、これほど長い期間をかけて事業を継続してきた背景にあるのは「損得」とか「利」とか「理」ではなく、「美味しいワインを造りたい」ですとか「今は損でも、将来に夢を託したい」という、夢や希望だったのではないか、もう少し言えば
「俺は失敗でも良い、この失敗を糧に、将来の誰かが成功して欲しい」
という「未来への礎」のような、不屈の精神では無かったのか、とか考えています。

 南アフリカに位置する、アルジェリアの都市、「マラカス」もそうだったのかも知れません。「軍事拠点」と位置づけられ「兵士の母」と名付けられた都市の背景には、軍需に頼らざるを得なかった政治的・経済的な背景があったのかもしれません。
 
 さて、150余年前の戊辰戦争で大きな被害を受けた「会津」から、カリフォルニアに移民し「若松コロニー」、「若松ファーム」を立ち上げた方々がいたそうです。
 事業としては失敗し、移民した方々は散り散りになったそうですが、その「若松コロニー」でワイン造りを学んだ方が、日本に帰国してワイン事業を立ち上げたという話もあります。
 そのワイン事業も失敗したそうですが、事業の一部は他社に譲渡され、受け継がれて事業が成長し、そのメーカーは「長野」を拠点としつつ、「会津」におきましても50年以上も前から「ワイン用葡萄栽培」を支援しているそうです。

 そして、東日本大震災の復興支援事業として、会津若松市の隣の市に設立されたワイナリーでは、初年度から「会津の葡萄」を原料としたワインを造り続けています。

 そんな、こんなの物語がありまして、私の中で「ワイン」という飲み物は「復興」とか「未来」とか「希望」を感じるものとなっています。さらに、
「日本ワインが評価されるまで、150年かかっているんだよ。福島太郎が3年や5年で評価されるなんて、ちゃんちゃら可笑しいは」
と、書き手として未熟な自分を慰めたりしています。

 さて、勘の良い方は予想されていると思います。ここで、あの作品のセリフを引用します。

『何を言っている1400年だ。小手姫が川俣に養蚕技術を伝えてから1400年以上、川俣の職人は技術を磨き続けている。その途中に、俺やお前がいただけだ』

福島太郎著:光流るる阿武隈川より

 まぁ、私の作品そのものは、150年過ぎても1400年過ぎても、何の意味も為さないとは思います。ただ、
『好きなことを 好きなときに 好きなように書く』
ことができる平和な時は、永遠に続いて欲しいと希望しています。

 木幡山とともに、永遠に夢を見続けようと思います。


 

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