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負け戦 一考

  何度かお越しいただいている方は御承知と存じますが、私の大好きな台詞として
「また、負け戦だったか」
というものがあります。Noteでも時々出ますし「黎明奇譚」などの拙著でも出てくる場面があります。

 映画「七人の侍」の台詞が元になっておりますので、ネタばれをしないようにしたいと思いますが「七度、出戦して七度敗戦している」ということが前提になっています。このような背景があることから「負け戦」の前に、「また」が付くことになります。

(ここから先、少しネタばれ要素がありますので、これから映画を観たいと考える方は、ここでお止めください

 さて、負けてばかりの侍ということで、「七度」のエピソードを紹介する際も「がっかり」という風に描かれ、この台詞をいう時も、少し自虐風に描かれているのですが、私としては、どちらの場面も「侍としての誇り」を強く感じるのです。「負け戦」ということについて、「何ら後悔の気持ちは無い」「負け戦を生き延びて自分はここにいる」という自負を強く感じてしまうのです。何ら、映画の解説等に拠ることのない個人の感想です。

 「不利を承知の上で参戦した」という背景があるような気がするのです。「義理」や「人情」、「愛憎」、「地縁血縁」とか、何かしらの事情があったのではないかと考えています。そして「意気に感じて参戦」したのではないかと思うのです。
 そして、七度敗戦しても、また「逃げすに戦場に立つ」という気概を感じ、最後の場面でも自分が生き延びたことを「是」としているのではないかとも思うのです。
 生き延びることができたので「また挑戦する。次こそは勝つ」という意思を感じるのです。

 このように考えるのは、私自身が「負けが多い人生」を送っているからかも知れません。「お仕事三部作」はフィクションですから、福島太郎の本体が、あのような成功事例を展開したわけではありません。あくまで「こんなこといいな、できたらいいな」という「負け犬」の空想の世界の話です。
 ただ、現実世界においても「勝利」を掴めるのは「挑戦した者」だけになりますので、どんなに「負け戦」を繰り返しても、挑戦する姿は美しく、誇らしいものと感じてしまうのです。


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