見出し画像

【実録】係員を叱った日

 note街の片隅に居続けることにより、意外な効用があることに気づきました。それは、過去を振り返る種を残せるということです。最近は創作のアイディアも出ず、投稿のネタも枯れ気味なのですが、自分の過去や他のクリエイターの方からのインスパイアなどを活かして、投稿を継続しています。
『去年の今頃はどんな記事を書いていたのだろう』
と、昨年の投稿を確認したところ、方向性に悩んでいた姿が浮き彫りになりました。「公務員のタマゴに伝えたい話」という書籍の素となる原稿をほぼ書き上げ、修行に一区切りついたので、note街に居続けるのか去るのか、居るとしてどんな投稿をするのかを思考錯誤していたようです(思考錯誤は誤字ではなく、確信的です)。

 そして、昨年の6月1日には『叱らないことの原点』という稿を上げていました。これは「公タマ伝」に収録している「〇〇するのも仕事のうち」という稿にある『筆者の理念として部下や後輩のミスは叱らない』というエピソードを受けて書き上げたものになります。
 ちなみに『叱らないことの原点』は、少し手を加えて「恋する旅人」に収録しました。

 さて、前振りが長くなりましたが、立派なことを書きつつ、リアルな世界で係員を叱責したことを思い出しましたので、ここで懺悔したいと思います。

 朝、業務が開始されて間もない時間に、Tさんに電話が入りました。何やらその応対に不穏な空気を感じた私は声をかけました。
「今の電話、何かありましたか」
「いや、大したことでは無いのです。高校生の息子からだったのですが、自転車で学校に行く途中で胸が苦しくなったらしく、学校を休むとのことでした。それで、お願いがあるんですが、午後から早退して、息子を医者に連れていきたいんですが、よろしいですか」
 自称、温厚であり、日ごろから極めて理性的に行動しようとしている私ですが、この時は少し感情的にTさんを叱ってしまいました。
「ちょっと待ってください。午後から早退なんて認められるわけないじゃないですか。今すぐ帰宅して、息子さんを病院に連れていってください」
「いや、出勤したばかりですし、午前中に片づけたい仕事もあるので、午後からで大丈夫です。胸が苦しいと言っていましたけど、朝も元気だったし大丈夫だと思います」
「何を言っているのですか、急ぎの仕事があるなら、我々でフォローします。仕事は我々が代わることができますけど、息子さんには、あなたしかいないのですよ。仕事なんかしてないで、すぐに帰宅してください。考えたくは無いですが、息子さんに万が一のことがあったりしたら、Tさんの家族に謝っても、謝りきれませんよ。俺はそんなの嫌ですからね」
「では、帰らせていただいてもよろしいですか」
「当たり前ですよ」
ということがあり、Tさんは早退しました。

昼前に、Tさんから電話が入りました。
「息子なんですが、気胸ができていたということで、午後から手術をすることになりました。ご迷惑をおかけして、すいませんでした。ありがとうございました」
「息子さんに、お大事にするように伝えてください。急な手術で息子さんも不安に感じていると思いますので、状況によっては、明日以降も寄り添ってあげてください。あと、誰も、何も迷惑をかけられていないですから、謝る必要はないですよ」

 ということで、少し格好つけたような話ではありますが、今回はフィクションではなく実録です。正直なところ、手術が必要な病気とは予想もしていませんでしたが、
『高校生の男子が、体調不良で親に電話してくるということは、相当体調が悪くて、不安な心境に違いない。それならば、すぐに駆けつけるべき』
くらいの見込みは立てていました。
『万が一のことがあったりしたら、〇〇さんの家族の謝っても、謝りきれませんよ。俺はそんなの嫌ですからね』
というのは、時々使うブラックジョークです。係員が疲れているように見える時や、体調が悪そうな時に、休暇取得を促すために使うことがあります。

 「公務員だから休みが取りやすいのです、民間ではそんな簡単に休暇なんかとれませんよ」

と指摘されたら、否定することはできませんが、どんな業種にいても、福島太郎はこんな芸風でいるんじゃないかなぁ、と夢想したりもします。大事なことは係員と家族の健康であり、命です。

 なお、私は勤めるようになってから、4回ほど入院していますが、職場の方が家族に謝罪したことは一度もありません。それどころか、40代と50代で入院した時には、職場の方は誰一人お見舞いにも来ませんでした。人徳という言葉を痛感したところです。確認しますが、実録です。
 あれ、思い出したら、何だか画面がにじん……….。

 著作を読んでいただけると、心が癒されます。
 そんなdabunを今日も愛してください。

 本日話題にしました「公務員のタマゴに伝えたい話」、昨年6月25日に販売開始でしたので、もうすぐ1年になります。書籍の販売は、ほぼ、ありませんが、kindle unlimitedでお読みいただく方がいることに感謝です。今月は毎日のように繰り返しますが、読み物としては「恋する旅人」がお勧めです。noteで修行した成果があります。レビューだけでも読んでください。


この記事が参加している募集

振り返りnote

サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。