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加茂水族館のこと

 加茂水族館のことについて語れるほどの知識は無いのですが、「何故、車で5時間もかけて一人で訪問したのか」について、忘備録的に残しておきます。
 ・何度か廃業の危機に瀕したこと
 ・クラゲの飼育にまつわるセレンディピティのこと
を知り、肌で感じたくなってしまったのです。「すいません、また嘘をつきました」で触れている、以前交際していた女性との出来事から10年以上が経ちましたので、ケリをつけるために、再び「湯野浜」を訪問するよい機会と考えたこともありました。

 さて、本題ですが、まず経営危機のことについて、展示物の沿革に痕跡が残されていました。
「平成11年 お金がなく顕微鏡が買えない中でスナイロクラゲの繁殖に成功」
「平成12年 水温上昇によりクラゲが死に始めるが資金がなく水温を下げる装置が買えないため見殺しにせざるを得なかった」

 現場の方々の「怨」を感じる文章です。市の担当者が予算を付けてくれない状況であったことが容易に推察できます。また、役人としては「お金がない」「資金がない」の言い回しにも感じるところがありますが、割愛します。この他にも「館長が借金して資金繰りを支えた」などの逸話もあるようです。お金がない状況で、職員の知恵や意地で乗り越えたことが感じられます。
 また、現在では「クラゲ」に特化した水族館として有名ですが、クラゲの飼育については「購入したサンゴに偶然、クラゲが付いていた」ことを機として始めたとのことです。偶発というか「縁」という言葉に置き換えても良いかもしれません。ただし、「偶」としても「縁」としても「挑戦」したからこそ、チャンスとなり「成功」が生まれたことになると考えます。
 挑戦した職員や、それを支えた職員の方々について、名前を確認することはできませんでした。現在の隆盛の陰に「名もなき職員達の挑戦」があることを「公民館物語」「黎明奇譚」の主人公たちに重ねてしまい、感涙してしまいました。また、成功の陰には、記録にも記憶にも残らない、さらに多くの挑戦や失敗があったのではないかと思うのです。挑戦や失敗を許せる社会が必要なのではないでしょうか。

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 この美しい展示にいたるまでに、様々なご労苦があったと思いますが、かつての職員の方々は、多くの来館者で賑わうことに繋がる未来を、実現可能な夢として描いていたのでしょうか。

 コロナ禍においては、展示やショー的なものなど制限を受けているようですが、その中でも丁寧に接客されている方々の姿にも、胸を打たれました。
 また、三連休の初日ということもあり、多くの家族連れや恋人同士が来館している中、「おひとりさま」は、私「ひとり」しかいませんでした。

 11年前にリングを受け取っていただいていたら、家族で来てたかもしれないな、とか考えながら、リングを海に投げ入れ、加茂水族館を後にしました。

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こちらにも「名もなき公務員の挑戦」の記録があります。


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