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【エッセイ】いつか好きになる日まで #シロクマ文芸部

 こちらの企画に参加です。普段の脱力系記事とは異なり陰鬱な内容になります。あらかじめご承知おきください。

(以下、本文です)
 子どもの日が好きじゃなかった。というよりも嫌いだった。うちが貧乏なことが際立ち、悲しい気持ちを強く意識させれられてしまうから。

 他の家のように庭に鯉のぼりが泳ぐことも、行楽地に遊びに行くことも外食をすることもない、何の楽しみもない休日。

 子どもの日に限らず、三食のご飯を満足に食べることができないような生活で、光熱費の支払いも滞りがちで毎日が貧乏だったけど、子どもの日が近づき、周囲で子どもの日の過ごし方や貰えるお小遣いの話で盛り上がることを聞くしかないだけの生活は、普段よりもいっそう自分を惨めな気分にさせた。

 ただ周囲からは避けられていたので、貧乏なことで馬鹿にされたり虐められたりしないことは良かったかもしれない。
「太郎君とは遊んじゃ駄目だって、ママに言われているから」
 そう話す子が数人いた、その数人というのが田舎の子ども社会の全てだった。僕の側には本しか無かった。

 子どもの日というものを知ってから50年くらいが過ぎた。
 今も子どもの日が好きじゃない。というか嫌いだ。

 僕は三食食べられる生活になったし、自分の子どもたちにはそれなりのことができたと思う。二人の子どもはそれぞれ自立し社会人になった。
 だけど、この令和の時代にも貧困と向き合っている子どもたちが大勢いる、おそらくだけど子どもの日が来ることを喜べない子どもたちがいることだろう。子どもの日が近づくと無力な自分を強く意識させられて泣きたくなる。

 小さな小さな小さな行動だけど、光を集めて届けることを続けたい。悲しい気持ちを持つ子どもたちのことを想い寄り添おうと願う人間がいることを伝えていきたい。
 僕は微力だけど、もしかしたら同じような行動を起こしてくれる人が増えるかもしれない。そんな夢を見続けたい。
 今は哀しい気持ちを抱く君たちの未来が光で輝くことを信じて生きていきたい。

#かこに感謝し今を受け入れ未来を夢見て

 過去は変えられない、力がない今を受け入れる。けれど未来を夢見ることは諦めない。
 いつか子どもの日を好きになれる未来を夢見て、光を集め届け続ける。
(本文ここまで)

#シロクマ文芸部
#創作大賞2024
#エッセイ部門
#何を書いても最後は宣伝
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