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【再掲】夏の怪談

 新築の家に招かれた際には手土産を持参することはもちろん、その家のことをを誉めなければならないらしい。
 意外に難しいではないだろうか。彼が家を建てるにあたり、どのような思いでどのような拘りがあったかを知っていればともかく、建築の素人が初めて招かれた家で何を誉めれば良いのだろう。
 うるさいタイプではないはずだが、的外れなことを言って微妙な人間関係になることは避けたい。

 茨の道を歩くような、鬱とした気持ちで玄関前に進みインターホンを鳴らす。直ぐに笑顔で出迎えてくれたが、こちらは緊張感が高まり顔が強張り脇の下には汗。
「せっかくの休日に悪いね、どうぞ中へ」
部屋の中は明るく、新築特有の木の香りが心地いい。
「いきなりだけど、座る前に2階を見て貰えるかな」
何故2階なのか、答えはすぐに明らかになった。
「大変だったんだよ、この素材が手に入らなくて」
手が階段を示していた。
「偶々だけど、ウォールナッツ、くるみの材木が手に入り、階段に使うことができたんだ」

 誰が予想しただろう、ナッツの階段からの、夏の怪談。

【以下、補足説明です】
 以前「ゆっこさん」の企画に参加するために起こした稿になります。

 怖い話でしたねぇ、この薄ら寒いオヤジギャグを平気でやるのですよ。こういう私の存在が怪しいですね、怪しいオヤジの談ですので、怪談というのは、有ということにしてください。
 くるみは正確には「ウォールナット」らしいですが、ノリと勢いで見逃してください。
 お読みいただいた方の感想はわかりませんが、当時書いていて、読み直して楽しかったです。

 なお、ネタバレをするのは未熟な証拠なのですが、本作は一文ごとに「シリトリ」になっております。
『そんなの言われるまでもなく気づいていたよ』
という方がいたら教えてください。私が楽しい気持ちになれます。気づいていない方は、もう一度お読みいただき、確認してくださると嬉しいです。
 「絵しりとり」に参加できない口惜しさから、古いネタを掘り起こして参りました。

 そして、本日も
#何を書いても最後は宣伝です
 
Kindle版の「銀山町 妖精綺譚」

 Amazonの⭐︎が9個で止まっています。
 二桁に乗せていただける優しい方がいらっしゃるように、星に祈ります。


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福島太郎@kindle作家
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