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【駄文】上海へ向かう空港にて

 上海へ向かうため、福島空港で保安検査を受け、出発ロビーで過ごしていると、中国映画などでお馴染みの
「哎呀(アイヤー)!」
という叫び声が聞こえました。一般待合いロビーにいる、若い中国人の女性が、出発ロビーにいる数人の女性を指さし、何やらまくし立てています。中国語は全くわかりませんでしたが、
外の女性 「ロビーで待っているっていうから、ずっと待っていたのに、誰も来ないから心配していたのに、何でみんな、私のことを置いて中に居るのよ。酷いじゃない」
中の女性 「だから出発ロビーで待っていたじゃない。何で外にいるのよ。早く保安検査をして中に来なさいよ」
という感じに見えました。「一般ロビー」と「出発ロビー」があること、また、何となくですが、外の女性が初めて帰省するという状況が生んだ、すれ違いなのかと感じました。
 冷静な出発ロビー、中の女性陣に対し、半べそをかいているように見える外の女性にちょっと同情したものの「合流できてよかったね」と思いつつ、飛行機に乗り込みました。

 飛行機の座席では、偶々その女性達と隣り合わせになりましたが、別段、会話をすることもなく、ぼんやりと過ごしていると、キャビンアテンダントさんがミールサービスを届けに来ました。肉と魚のメニューから選択のようで、英語か中国語で乗客に確認しています。
 そして、私の番になりました。
「你要吃鱼还是肉?(Nǐ yào chī yú háishì ròu?)」
 多分、こんなことを聞かれたのだと思います。
俺、中国人じゃないし、この娘たちの引率じゃないですから)
と、思いましたが、口を突いたのは
「ミート、ミート」
という言葉だけでした。ちゃんとお肉をいただきましたが、旅行代理店からいただいた資料に「機内食無し」と書かれており、食事を済ませていたこともあり、「美味しかった」という記憶は残っていません。

 それから数年後、夜行バスで京都を訪問し、清水寺でスタッフの方から特設展示の説明を受けていた際に、
「日本語、大丈夫ですか?」
と尋ねられ、(俺、中国人じゃないし)と思いつつ、疲れもあり、
「ニホンゴ、ダイジョウブデス」
と応えるのが精いっぱいという時がありました。
その日から、もしかしたら自分は中国人のような風貌をしているかも、と考え続けています。
 そのため、中国語で話しかけられた時のために「対不起」と「我愛你」だけは言えるように心がけています。
 実際に口にするのは「好吃」くらいですけど。最終的には、どんな国の方に対しても、日本語でコミュニケーションをしても通じるような気がしています。
 むしろ、日本人なのに日本語が通じない方が多いような気も。


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