【MLB】高年俸選手が多い理由とは!?MLBの収益内訳と分配制度の仕組み
※コロナ禍以前の情報を参考に記載したため現在(2022年)とは記載内容に誤りがある可能性があります。
チケット販売の重要性と割合
ボールパークでの観戦において誰もが支払わなければならないのは、観戦のチケットである。そのため、チケット販売収入は運営側にとって経営の基盤であり、いかに多くのチケットを高値で売却する事が重要であるように考えられる。
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図-1は、2019年度のMLB収益の内訳をグラフにした物である。フォーブス誌によると、2019年度のMLBの収益は2018年度の$10.3billion(約1兆30億円)に対して、$10.7billion(約1兆70億円)まで向上している(Maury Brown(Dec 21,2019))。その全体の収益の3割を占めているのがチケット販売である事から、球場に観客を呼び寄せて空席を減らす事が収益確保に直結する為、運営の基本として特に重要であると言える。
では、30球団それぞれの収益状況の現状はどうだろう。
表-1 MLB各球団の観客動員数と収容率及び収益(2018)*(-)…下位
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表-1ではMLB30球団の球場への来場客数と収益の関係を球場の収容率が高い順番に並べた。収容率が高い球団は、球団の利益の4割をチケット販売によって賄っており、反対に収容率が低ければ球団のチケット販売による利益が2割にも満たないという事がわかる。では、球場の利益の2割にも満たない球団は、残りの8割の利益をどのようにして得ているのだろうか。
拡大する放映権ビジネスと収入分配制度
図-1でチケット販売の割合の次に大きな割合を占めているのは、放映権とわかる。MLBでは、米国スポーツ専門局「ESPN」や「FOX」だけでなく、日本の「TBS」や韓国の放送局と契約し、映像を配信する事によって巨額の収益を確保している。また、2002年に公式戦をインターネットで生中継する「MLB.TV」が開局され、2009年にはMLB専門テレビ局の「MLBネットワーク」が開設された。現代ではインターネットの普及によって誰もがパソコンやスマートフォンを通じて試合を観戦する事が可能となった(岡田 功(2010)pp174-218)。これらの映像によって得られた収益はMLBによって管理されている。この収益の一部は「収入分配制度」によって各球団に充てられ、年俸総額が一定額を超えた球団にペナルティーを科す「課微金制度(ぜいたく税)」によって球団の戦力の均衡を図ろうとしている(岡田 功(2010)pp98-101)。
球場の収容率が低いという理由からチケット販売の収益が利益の2割に満たない球団もあるという事がわかったが、MLBではリーグを一括管理することによって戦力均衡が保たれ、MLB全体としての価値を向上させると共に放映権の価値も向上し、収益を分配することで各球団の運営を存続させている。MLBは2019年度に初めてロンドンで公式戦を行った。日本国内でのMLB公式戦の開催も積極的に行い、世界を市場に構えて今後も映像を通じた事業を展開し、ファンと競技人口の拡大に注力していくのだろうか。
〇参考文献
・岡田功(2010)『メジャーリーグなぜ「儲かる」』集英社
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