退屈な考え

おれはこう思った

おれの弟は善人だが

変人嫌い

いつも彼らの目を気にしている

亡霊のような彼ら


おれや

ゲイ、躁うつ病患者、発達障害者、精神病患者

は彼らに認められていない人間

弟は変人に間違われるのが苦痛で仕方ない

と言った

弟はおれに

「どうしてそんな目でおれを見るんだよ?おれを軽蔑してるのか?」

と尋ねた

「その通りだ。つまらねえやつだ」

そのとき

弟が目の前を飛ぶ蚊を殺そうと

パチン!パチン!と手を叩いた

おれは「蚊を殺すんじゃねえ!」と怒鳴り

話はそこで終わった

おれはアパートに帰った

部屋のドアを開けると

腐った匂いがした

一ヶ月分の積もり積もったゴミ袋の匂いだった

くそったれめが

おれはゴミ袋を外に捨てて、煙草を吸った

吸っているうちに

おれにも嫌いな人間がいたことを思い出した

貧乏人、阿呆、ヒステリー人間、腐乱死体

これまでにおれは数万匹の蚊を叩き潰してきた

虫という虫を踏み潰した

自分が心底悪人に思えてきた

おれは貧乏で

誰にでもキレる阿呆だ

蚊みたいに死にたくなる

つまりおれが嫌いだった

弟も自分が嫌いだった

彼らは善人だ

彼らはいいことを言いたがる病だ

二本目の煙草を吸っているうちに

それでも彼らは自分は特別だ

そう思っているに違いない

くだらねえ

吐き気がしてきた

この部屋で腐って死ぬのもまた

よし

そう思った




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?