変な女
大抵のクソ野郎どもは彼女のことを変な女だ、と言った。彼女のことを忌み嫌う人間はとことん、蔑み、距離を置いた。たぶん彼女の日頃の発言が招いた結果だった。
彼女は「男の身体全部が好き」と新しく出会うすべての人たちに伝えた。爪先から旋毛まで。
彼女の趣味は別段気にならなかった。おれは女の身体全部が好きだった。いい尻。いい胸。彼女はおれとばかり喋るようになった。いい感じ。
みんなおれたちのことを変だと言った。
そして彼女は今、おれを食べている。おれの爪先は彼女の胃の中で眠っている。腕は電子レンジの中で爆発した。目玉は鍋の中で煮立って、コロコロと回転していた。ペースト状になった肝臓は食パンに塗ってトースターへ……
「ごちそうさまでした」と彼女が手を合わせて言った。
彼女はまともだった。
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