ほとほと疲れきった。おれは毎日ムショの壁を見つめて思った。この壁を掘って、壊す。壁の向こうに行って真逆の人生を送るべきだ。

それから毎日みんなに隠れて壁を掘った。2週間かかった。最初は小さな穴だったが、今じゃ大人1人が入れるほどの穴が空いた。おれは穴の中に頭を突っ込んだ。穴の向こうから糞をしている囚人が言った。

「ど、どうしたんです看守さん?」

おれは言った。

「交替だ。疲れたんだよ」

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